2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500298
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田辺 利住 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20315972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 清 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00047325)
立花 亮 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80305614)
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Keywords | ケラチン / 圧縮成型 / NaClリーチング / 多孔体 / 尿素 / 細胞足場 / 再生医療 |
Research Abstract |
細胞足場としての使用を目指し、足場内部への細胞の侵入と栄養分の補給が可能な、孔径の大きなケラチン多孔体を作製するため、圧縮成型とNaClリーチング法を組み合わせた多孔体作製法を試み以下のような成果を得た。 羊毛を尿素、SDS、2-MEを含む水溶液で処理し、還元型ケラチン水溶液を得た。これを噴霧乾燥しケラチン粉末を調製した。ケラチン粉末と100-300μmに粒径を揃えたNaCl粒子を1:15の割合で混合し、ケラチンのガラス転移点が20-150℃であることから、140-170℃、20MPaで10分圧縮成型した。その後、水中でNaClを溶出しケラチン多孔体を作製することを試みた。しかしながら、得られた多孔体は水に不溶ではあったがケラチンマトリックスが粉状不均一で極めてもろいものであった。そこでケラチン粉末の2倍量の尿素を添加し、圧縮成型を行ったところ、尿素の融点(約138℃)以下の成型温度では、尿素不添加の場合と同様であったが、140℃でケラチンマトリックスがなめらかで強度に優れたケラチン多孔体を得ることができた。そこでNaClの粒径を変化させ多孔体を作製したところ、得られた多孔体の孔径はNaClの粒径と完全に一致した。また、ケラチン粉末に対するNaCl粒子の添加量を変化させることで、多孔体の空隙率を調整できることがわかった。得られた多孔体はpH5付近ではわずかに縮小、pH7および9では、それぞれ5%、10%程度膨潤するものの水に不溶であった。しかしながら、2-MEを添加するとpH7での膨潤度が上昇し、pH9では溶解することから、多孔体はS-S結合の形成により水不溶になっていることがわかった。湿潤状態での多孔体は、適度な強度を有するとともに、柔軟性にも富むものであった。 以上のように細胞足場としての使用が期待される、孔径ならびに空隙率の調整可能なケラチン多孔体作製法を確立した。
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Research Products
(2 results)