2005 Fiscal Year Annual Research Report
運動による腎保護作用の機序の解明:腎チトクロームP-450アラキドン酸代謝の役割
Project/Area Number |
16500332
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 修 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00361072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 雅之 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60282050)
上月 正博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70234698)
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Keywords | 長期的運動 / 腎保護作用 / 20-hydroxyeicosatetraenoic acid / epoxieicosatrienoic acid / チトクロームP-450酵素 / アラキドン酸 |
Research Abstract |
20-hydroxyeicosatetraenoic acid(20-HETE)は、チトクロームP-450 4A(CYP4A)酵素によるアラキドン酸ω水酸化物質であり、各種臓器の血行動態、腎尿細管イオン輸送、血圧調節、糸球体蛋白透過性、血管新生等において重要な役割を担っている。長期的運動による腎保護作用の機序としてのアラキドン酸ω水酸化の意義を明らかにするため、本年度、ラットおよびヒト腎臓におけるCYP4A発現と腎障害時に腎機能低下や尿蛋白増加が軽減しているBrattleboro尿崩症ラットにおけるCYP依存性アラキドン酸代謝について検討した。ラット腎臓においては、CYP4A発現は近位尿細管、ヘンレの太い上行脚、糸球体、前糸球体細動脈、直血管に認められた。一方、ヒト腎臓においては、CYP4A発現は近位尿細管、ヘンレの太い上行脚ではヒトと同様に認められたが、糸球体、前糸球体細動脈、直血管には認められなかった。尿崩症ラットの腎皮質と髄質外層ミクロゾームによる20-HETE産生は対照ラットに比べ亢進していた(155±16vs.92±13pmol/min/mg protein、59±7vs.33±3pmol/min/mg protein)。CYP4A蛋白発現は尿崩症ラットの腎皮質、髄質外層において対照ラットより58%、78%増加していた。尿崩症ラットでは、CYP阻害薬投与により尿量は54%増加し、尿浸透圧は33%低下した。この際、GFRの45%増加と自由水クリアランスの80%増加を伴っていたが、UNaVの変化はなかった。対照ラットではCYP阻害薬投与により尿量、尿浸透圧、GFRに有意な変化を認めなかった。以上の結果から、尿崩症ラットにおいて腎20-HETE産生は亢進しており、これが腎血行動態や尿細管機能に大きく関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)