2006 Fiscal Year Annual Research Report
廃用性萎縮筋における免疫生化学的変化の解析およびリハビリテーションの影響
Project/Area Number |
16500344
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
折口 智樹 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (90295105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖田 実 星城大学, リハビリテーション学部, 助教授 (50244091)
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Keywords | 廃用性筋萎縮 / 拘縮 / リハビリテーション / 他動的受動運動 / マトリックスメタロプロテアーゼ / インターロイキン1β(IL-1β) |
Research Abstract |
廃用性萎縮筋における筋線維の細小化、短縮ならびに筋内膜のコラーゲン線維網の変化等がみられることを報告してきたが、今回の研究で、萎縮筋内では、拘縮後比較的早期にMT1-MMPの活性化に伴い、MMP-2が活性化されることを証明し、それによって筋線維の退行性変化が起きることが推定された。さらに、このMMPsの活性化に関与する因子としてサイトカインのうち、インターロイキン1β(IL-1β)が廃用性萎縮筋で高い傾向にあることを見出した。 本年度は、廃用性萎縮筋にみられる上記の免疫・生化学的変化が持続的他動運動(continuos passive motion ; CPM)を行うことによって回復するか検討を行った。 拘縮により廃用性萎縮をきたした筋肉組織では、MMP-2ならびにMT1-MMPの発現が蛋白レベル、mRNAレベルで亢進していたが、CPMを行うことによって、MMP-2、MT1-MMPいずれの発現亢進も抑制されることが、ゲラチンザイモグラフィー、RT-PCR法で確認された。さらに、CPMによる廃用性萎縮筋で増加していたIL-1βの抑制効果についてもELISA法で検討した。コントロール群、拘縮4週間群、拘縮4週間+CPM群におけるIL-1βの産生はそれぞれ、220,2土28.9pg/ml、346.3±190.6pg/ml、191.7±42.0pg/mlと拘縮により増加したIL-1βはCPMにより抑制された。 以上の結果から、関節拘縮を行った周囲筋組織においてはIL-1βの産生によるMT1-MMP、MMP-2の活性が起こり、筋障害を惹起し、廃用性筋萎縮に関与している可能性が示唆されるとともに、これらの変化が持続的他動運動によって回復することを明らかにすることができた。
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