2006 Fiscal Year Annual Research Report
ひとの歩行中における脊髄反射回路の変化についての検討
Project/Area Number |
16500356
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
正門 由久 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (10173733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 彰男 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70118941)
大田 哲生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20233132)
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Keywords | ヒト / 歩行 / 筋電図 / H反射 / Ib inhibition / 免荷 / 下肢荷重 |
Research Abstract |
過去2年間の研究により、足底神経から下腿筋への投射について検討した。その研究結果より、母指底屈筋である短母指屈筋(FHB)からヒラメ筋に対する短潜時の抑制は、その一部分にIb inhibitory pathwayを含んでいるもの、歩行中にはIb群線維からの抑制は立脚期に促通に転じ、下肢伸筋活動量を増加させるものと考えられた。動物実験でも同様なことが報告されている。ヒトにおいても同様の機序が働いており、この機序にはIb群線維が受容器となって荷重量の変化の検出に関与しているものと考えられた。本年度は、下肢への加重を体のつり上げ装置を利用し、歩行中体重を免荷し、足底神経からヒラメ筋への抑制およびIa抑制、Ib抑制について、表面筋電図による解析を行った。体重免荷を0%、30%、60%と変化させ、それぞれの抑制にどのような変化が起こるのかについて、歩行中とくに立脚期において検討した。その結果によると、拮抗筋である前脛骨筋(TA)からヒラメ筋へのIa抑制については、体重免荷によって抑制量に変化は認めなかったが、協働筋である内側腓腹筋(MG)からヒラメ筋へのIb抑制および足底神経からヒラメ筋への抑制については、体重免荷によって、立脚期の抑制から促通への変化は消失し、免荷の程度によって、抑制量は大きくなった。これによって過去3年間の研究により、ネコにおける研究でも、Ib群線維からの抑制は立脚期に促通に転じ、下肢伸筋活動量を増加させることが報告されている。ヒトにおいても同様の機序が働いており、この機序にはIb群線維が受容器となって荷重量の変化の検出に関与しているものと考えられた。
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