2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳みを抱える青少年を対象とした自然体験プログラムの心理臨床学的効果に関する研究
Project/Area Number |
16500374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 昭裕 国立大学法人筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (10251076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 仁 国立大学法人筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (30203334)
多田 聡 明治大学, 法学部, 専任講師 (10276008)
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Keywords | 自然体験 / キャンプ / 冒険プログラム / 風景構成法 / 発達障害 |
Research Abstract |
本年度は、「悩みのある青少年に対する自然体験プログラムの心理臨床学的効果」を検討する一環として事例研究を行った。本事例研究では、長期キャンプ・プログラム(20泊21日)に参加した場面緘黙のある不登校児の経過について面接法と描画法から検討した。事例対象となった場面緘黙のある不登校児は、発達上の障害がある生徒であった。また、長期キャンプ・プログラムは、MTB、登山、ロッククライミング、沢登り、カヌーなどの冒険的な活動を含む20泊21日であった。プログラムの効果として以下のことが明らかとなった。 1)一般的に発達上遅れのある子どもは、対人関係形成に不得手であり社会的技能の未熟さが指摘されている。プログラムは、全般的には効果的であったが、社会的技能習得に有効的な体験と有効的でない体験があることがわかった。発達上の障害のある生徒には、どのような活動を体験することが安全で効果的であるか充分に検討する必要があることが示唆された。 2)風景構成法(描画法)では、キャンプ・プログラムの効果として、初回の描画に比較して2回目、3回日と、杜会的な繋がりを示す表現が増加した。2回目以降、「家の窓」「田んぼの中のあぜ道」など、社会との繋がりを象徴する表現が増えた。3回目では、道と川の構図も変容した。しかしながら一方で、3枚の描画の全体的な構成は、大きく変化したとは言えなかった。発達上の未熟な部分(中核部)は変化し難いが、社会的技能習得といった部分(表層部)においては、変化することが明らかとなった。また、3回の風景構成法において「生き物」は全く描くことができなかったことは、興味深い結果であった。
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