2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳みを抱える青少年を対象とした自然体験プログラムの心理臨床学的効果に関する研究
Project/Area Number |
16500374
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 昭裕 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (10251076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 仁 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (30203334)
多田 聡 明治大学, 法学部, 専任講師 (10276008)
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Keywords | キャンプ / セラピー / 非行少年 / 不登校 / 内的成長 / 風景構成法 / 箱庭 |
Research Abstract |
本年度は、「悩みのある青少年に対する自然体験プログラムの心理臨床学的効果」を明らかにする一環としてキャンプのプログラムに参加する少年達の「内的成長」に及ぼす影響について検討した。キャンプ・プログラムは、自然環境における生活体験や冒険的な体験活動が特色であり、メインキャンプ(17日)、ポストキャンプ(2日)から構成されていた。本研究における分析資料は、少年達への半構造化面接法、観察法、描画法、箱庭法から収集され、個々の事例についてキャンプ中の内的体験について考察された。 その結果、キャンプに参加した少年達の内的成長には、自分と他者(仲間、スタッフ)等の人間関係における体験、あるいは自分と自然環境との体験が大きく影響していることが明らかになった。不登校児や発達障害児においては、自他境界が未分化のままで発達が遅れている者がおり、キャンプでは、プログラムを通して、自他の境界を明確に形成する内的成長がなされる事例があった。また、キャンプ中の自然環境は、時として超自我的な体験、あるいはスピリチュアルなヌミノースなものとして体験されることがあった。特に、感情や行動面において問題がある少年の事例では、自然は、自分自身では、制御できないものとして体験され、自己の感情あるいは行動のコントロールを成長させる契機となっていることが明らかになった。また、不安や対人的な緊張が強い少年の事例においては、山などの自然が自身の内的な安定(護り)となるような機能を果たしていたと思われる。
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Research Products
(3 results)