2007 Fiscal Year Annual Research Report
悩みを抱える青少年を対象とした自然体験プログラムの心理臨床学的効果に関する研究
Project/Area Number |
16500374
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 昭裕 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (10251076)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 仁 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (30203334)
多田 聡 明治大学, 法学部, 准教授 (10276008)
|
Keywords | キャンプ / セラピー / 悩みを抱える青少年 / 心理臨床 / 事例研究 / 治療的要因 / 自己意識 |
Research Abstract |
本年度は、4年間にわたって実践してきた悩みを抱える青少年(以下クライエント)を対象にした自然体験プログラムの効果について総括した。質的アプローチ(事例研究)では、自然体験プログラムの意味について検討した。また、量的アプローチ(調査研究)では、プログラムの自己意識に及ぼす影響について検討した。事例研究では、悩みを抱える青少年における自然体験プログラムは、クライエントそれぞれの固有な心理社会的、あるいは身体的発達に肯定的な意味があることが明らかになった。心理社会的な面では、関係性改善に意味がみいだされた。自己と世界との関係性、母子の関係性、あるいは、自己関係性改善の事例が認められた。また、身体的発達では、体力的向上や技能向上の自己認知がクライエント自身の全般的な自尊感情に影響を及ぼす事例が確認された。これら事例からクライエントそれぞれが固有な心理的課題に取り組むことが示され、自然体験プログラムには、体験過程の中でクライエント本来の個性に従って成長してゆく「個性化」過程としての意味が認められたと思われる。 自己意識における調査では、自然体験プログラム直後では、向上したが、1ヶ月後にはプログラム直前の水準に戻ることが明らかになった。自己意識の下位概念である達成動機、努力主義、自信と自己受容についても概ね同様な変化を示した。他者のまなざしは、逆にキャンプ前、直後に比較して低下していた。いずれもプログラムの短期的、肯定的な影響が認められた。このような変化から自然体験プログラムによってクライエントの自己意識が質的に変化することが推測された。また、本研究の結果では、先行研究との違いが認められ本プログラム固有の効果要因の存在が示唆された。
|
Research Products
(2 results)