2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500377
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金久 博昭 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50161188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 素樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30313167)
久保 啓太郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (70323459)
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Keywords | 発育期 / 筋腱複合体 / 身体組成 / 超音波法 / 皮下脂肪厚 / 筋厚 / 運動成績 / 性差 |
Research Abstract |
昨年度、腓腹筋筋束配置およびアキレス腱長に関する三次元計測の結果として、アキレス腱長のみが下腿長と有意な相関関係を示し、頸骨や腓骨の長軸方向の成長と筋腹の長軸方向の成長とは一致せず、筋腱複合体は骨の成長に伴う長軸方向の伸長分を腱の伸長分によって担っていることが示唆された。しかし、三次元計測を実施した被験者数が少なく、論文として結果をまとめるには至らなかった。そこで、本年度は、まず、中学一年生から高校三年生までの男子30名を対象に筋腱複合体の三次元計測を行い、論文を作成に必要と思われるデータ数を確保した。なお、本年度は膝伸展筋と足底屈筋の弾性特性に関する測定も同時に実施したことから、それら一連の分析結果に基づき、筋腱複合体の発育変化と腱組織弾性特性のそれとの関連について明らかにできるものと期待できる。また、本年度は、3歳から6歳までの男女児370名、および中学一年生から高校三年生までの女子170名を対象に、身体組成の発育変化およびその性差について検証した。また、幼児に関しては、走・跳・投の成績についても実施した。体脂肪量および筋量の発育に関するこれまでの研究は、主に小学生以上の児童・生徒を対象としたものが大半を占め、幼児における身体組成、特に筋量の発育変化における性差、ならびに身体組成の発育変化と運動成績との関係については不明であった。本研究の結果、まず、幼児の段階で、身長および体重には有意な性差が存在しないにもかかわらず、皮下脂肪厚および筋厚には性差が存在し、全試験者をプールしたデータに対し解析を行ったところ、皮下脂肪厚および筋厚ともに、殆どの測定部位において男児が女児より有意に高い値であった。また、両組織厚における性差の程度には部位差が存在し、筋厚の場合に、下肢より上肢・腹部の筋において性差が顕著に表れる傾向が認められた。また、運動成績は、走・跳・投のいずれの種目においても男児が女児より有意に高いスコアを示し、特に投における成績に顕著な性差が確認された。また、女子中・高校生においては、年齢が進むにつれ、体脂肪量および除脂肪体重ともに増加する傾向が認められた。しかし、体脂肪率も年齢とともに増加傾向にあったことから、年齢に伴う組織量の変化として、体脂肪量の増加が除脂肪体重の増加を上回ることが示唆された。一方、皮下脂肪厚および筋厚の年齢変化には部位差が存在し、四肢の皮下脂肪厚は年齢が進むにつれ低下する傾向が認められたのに対し、腹部のそれは逆に増加する傾向にあった。したがって、年齢に伴う体脂肪量の増加は、若年齢者でありながら中年齢者と同様に、体幹部の脂肪量の増加を反映していることが示唆された。本研究の最終年度である次年度においては、中高校生男子に対する筋腱複合体の測定および幼児における皮下脂肪厚と筋厚の測定を同一の被験者に対し行い、筋腱複合体の形状と機能、ならび組織厚の縦断変化を検討する予定である。
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