2007 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動技能の教授と模倣に関わるヒトの認知過程-その運動神経生理学的機序の解析
Project/Area Number |
16500380
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笠井 達哉 Hiroshima University, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60112702)
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Keywords | 認知過程 / 運動イメージ / 運動誘発電位 / 運動野 / 磁気刺激法 / 運動学習 / 筋電図 / 中枢神経系 |
Research Abstract |
ヒトの運動学習は、新たに運動技術を修得する「運動技能習得学習」と、すでに獲得した運動技能をより効率的に遂行するための「運動習熟学習」とに分けられる。これは、それぞれの運動学習過程において中枢神経系の関わり方が異なるからである。しかし、その運動神経生理学的メカニズムはまだ十分に解析されておらず、未知なままであることから、有効な学習方法の確立が阻害されている。 そこで、本研究は、運動学習に普遍的に関わり、特に中枢神経系が中心的な役割を担っていることが分かっているヒトの認知過程を反映する「運動イメージ」のメカニズムを取り上げて、実際の随意運動の遂行との相違点を解析した。具体的には、幾つかの実際の運動課題を異なった条件下で被験者に同じように遂行してもらい、その時発揮される運動の遂行に関わる変数(主に、筋電図と力)を記録した。次に、同じ条件下で、実際の運動は行わないで、頭の中だけで同じ運動を遂行してもらった。この脳内における運動の遂行時に、運動野を磁気刺激して、手の筋から運動誘発電位を記録した。 この運動イメージの再生中の中枢神経系活動は、認知過程と同様の機序であり実際の随意運動の遂行過程に類似していた。そして、その過程は運動イメージの再生に関わる「教示」の仕方の違いによって大きな影響を受けることが分かった。このことから、運動学習における「教示」の有効性を確認すると同時に、その運動神経生理学的機序の一端を磁気刺激法を用いて初めて明らかにした。
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Research Products
(4 results)