2005 Fiscal Year Annual Research Report
運動リズムと循環系リズム間位相同期現象の機能的意義を探る
Project/Area Number |
16500390
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
新関 久一 山形大学, 工学部, 教授 (00228123)
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Keywords | 位相同期 / 心拍リズム / 筋運動リズム / 機能的意義 / 非線形振動子 |
Research Abstract |
運動時に筋活動を持続させるためには酸素すなわち血流供給が必要であり、いかに効率良く活動筋の血流を確保するかが重要になる。また、血流供給側である心臓もいかにエネルギーを消費せずに効率良く働くかが最大運動能力を決定する一要因となる。本研究では、筋収縮リズムと心拍数との同期現象に着目し、この現象に機能的な意義が存在するかどうか検証した。 ヒトを被験者として、カフを用いて大腿部筋内圧を変化させることで運動時の筋内圧変動を模擬し、循環系と筋内圧リズム間の自発的な同期が誘導されるか検討した。同期が誘導された場合、筋血流量を含む呼吸循環系パラメータの挙動から、心拍-筋活動リズム間同期現象の機能的意義解明を試みた。大腿部に動脈圧レベルに相当する圧を負荷したときにのみ有意な同期現象が観察された。このとき、筋内圧最大値のタイミングは動脈圧や大腿部血流速度のピークと一致しなかった。また、平均心拍数に相当するリズムで歩行運動を行い、心拍と歩行リズム間の自発的な同期を誘導したとき、リズム間に位相同期が生じた。この同期位相は、歩行運動時の大腿部カフ圧変動から推測した筋内圧変動のピークと心臓の拍出期が一致しないタイミングであった。したがって、同期の発生により末梢への血流を確保しかつ心仕事量の効率化を図っていると推察された。 循環系リズムと筋内圧変動リズム間に同期が生ずるメカニズムを、位相反応曲線に基づくモデルを構築し、シミュレーション実験を行った。心臓血管系はWind-kesslモデルを基本とし、FHN非線形振動子を用いて心臓と運動リズムを生成した。筋内圧上昇によって末梢血管抵抗が一時的に増えると仮定すると、同期によって血圧上昇が抑制された。心収縮期に筋活動が生ずると位相進みが起きるような位相反応特性が心拍と筋活動間のカップリングに機能的な意義を付加する重要な特性であると推察された。
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Research Products
(4 results)