2005 Fiscal Year Annual Research Report
トップアスリートに対するミトコンドリアDNAのハプログループ分類の試み
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16500401
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
押田 芳治 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (10169295)
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Keywords | 陸上長距離走選手 / ミトコンドリアDNA / 塩基置換 / 2型糖尿病 / 原発性肥満症 |
Research Abstract |
陸上競技長距離走種目およびそれ以外の競技種目を専門とする選手を対象に、ミトコンドリア(Mt)DNAのATP8/6遺伝子領域における塩基配列を決定し、持久性能力に優れた者に特有な遺伝子多型を検索した。タンパク構造に影響を持つアミノ酸の変化を伴う置換(非同義置換)は19カ所にあった。これらの非同義置換の中で、特徴的なSNPsとしてMt8414C→T、Mt8563A→G、Mt8701A→G、Mt8794C→Tの4カ所のSNPsが7.5〜54.1%の出現頻度で確認された。このなかで、Mt8794C→TのSNPは、持久性競技成績の優れた群の出現頻度が他の群と比べて有意に高かった。このことより、mt8794C→TがATP合成能における遺伝的差違、あるいはトレーナビリティの個人差といった持久性競技成績を左右する遺伝的要因に関係するSNPである可能性が示唆された。 また、2型糖尿病患者96名および青年肥満者96名を対象に、MtDNAを検索したところ、ATP合成酵素第6サブユニット遺伝子の多型8684C→T(T53I)が2型糖尿病患者群において5.2%の頻度で見出されたのに対し,青年肥満者群での頻度は0%であった(p=0.03,Fisherの直接法)。NADH脱水素酵素第1サブユニット遺伝子の多型3497C→T(A64V)と12S rRNA遺伝子の多型1119T→Cが青年肥満者群においてそれぞれ5.2%の頻度で見出されたが,2型糖尿病患者群ではその頻度は0%であった(p=0.03)。糖尿病患者群で有意に高頻度であった8684C→T多型はハプログループM8a1に分類された。一方,青年肥満者群で有意に高頻度であった3497C→T多型と1119T→C多型はハプログループB4cに分類された。したがって、肥満に関連するミトコンドリア多型と糖尿病の発症に関連する多型が互いに独立は危険因子の可能性が考えられた。
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Research Products
(7 results)