2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の肥大・萎縮における熱ショクタンパク質とカルシニューリンの関連
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16500414
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大石 康晴 熊本大学, 教育学部, 助教授 (10203704)
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Keywords | heat shock protein / カルシニューリン / 代償性肥大 / 筋線維組成 / ミオシン重鎖 / Hsp72 / plantaris / ラット |
Research Abstract |
1.ラット下腿部の共同筋切除により、残されたplantarisの筋線維は代償的に肥大し、その発現型は遅筋タイプへとシフトした。その際のplantarisにおけるHSP72とカルシニューリンの変化を分析した結果、HSP72、カルシニューリンともに有意な発現増加が認められた。この肥大plantarisにカルシニューリン阻害剤のシクロスポリンAを投与したところ、カルシニューリンの増加は完全に抑制されたが、HSP72発現量の増加はさらに増幅された。これらの結果から、HSP72は筋のストレスレベルと筋線維タイプ発現型に、カルシニューリンは筋線維サイズと筋線維タイプ発現型両方に関与する可能性が示唆された。本結果は、Biochemical Biophysical Research Communication(330,706-713,2005)に掲載された。 2.上記の代償的に肥大がみられたplantarisに対して甲状腺ホルモンを投与した結果、筋肥大が抑制され、またslowタイプの発現型増加が抑制された。同時に、代償性肥大plantarisで生じたHsp72とカルシニューリン発現量の増加が抑制され、これらの結果から、Hsp72とカルシニューリンの発現は筋のストレスレベルと筋線維・ミオシン重鎖タイプの発現型と密接に関連することが示唆され、本結果は、Biochemical Biophysical Research Communication(331,1317-1323,2005)に掲載された。 3.運動、トレーニングは筋に対して一種のストレスであり、筋はストレスの程度に応じて様々な応答を示す。中でも、熱ストレスタンパク質(heat shock protein, HSP)は筋へのストレスに対して素早く合成され、細胞の保護や恒常性の維持に役立っていると思われる。また、不使用に対して筋は萎縮応答を示すが、その詳細なメカニズム、特に細胞内情報伝達系については多くのタンパク質分解酵素やアポトーシス関連酵素(タンパク質)が関与している。これらの知見に関して体育の科学に2本の論文を総説としてまとめた(55:380-384,2005; 55:578-583,2005)。
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Research Products
(4 results)