2004 Fiscal Year Annual Research Report
グリップ部の力学的特性からみたテニスラケットの衝撃振動が人体に与える影響
Project/Area Number |
16500415
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
前田 寛 大分大学, 工学部, 教授 (60181591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡内 優明 大分大学, 工学部, 助教授 (20194334)
島田 義生 大分大学, 工学部, 教授 (40094065)
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Keywords | テニスラケット / グリップ / 衝撃 / 振動 / リンク機械モデル / 粘弾性モデル / シミュレーション |
Research Abstract |
テニスラケットにボールが衝突した際に、ラケットに生じる衝撃・振動はグリップを通して人体へと伝わる.この衝撃・振動は、プレイヤーの打球感と関係が深く、また傷害とも関連性があると言われている. 本研究では、天井から吊り下げられたボールをラケットで打つ実験を行ったその際、ラケットに表れる衝撃振動をシャフト部に接着したストレインゲージから検出する.同時にグリップ部に装着した圧力センサーからグリップ部の強弱を検出する.そしてラケットの衝撃振動が、握り方の強弱によって、人体の手・前腕部にどのように伝播するかを手部と前腕部に装着した加速度計によって検出した. その結果、ラケットに生じる衝撃振動の振幅の大きさは、ラケットの歪みで約500μStrainを示し、振動の周波数は約130Hzであった.グリップ部の掌側の圧力変化は、強く握った試技では1平方cm当たり最大約20〜30Nであり、ラケットシャフト部の歪みとほぼ同じパターンを示していた.また、弱く握った試技では、掌側の圧力の変化パターンは強く握った場合と大きな違いは見られないが、130Hzの周波数の振動振幅は小さく、かつ減水率が高いことを示していた.同様にラケットに生じた130Hzの衝撃振動が手部と前腕に伝播していることが、装着した加速度計の信号からわかる.グリップの握り方が強い場合は、手部で約30G以上の加速度が表れていたが、グリップ部の圧力が小さい試技では、加速度が約1/2に減少していた. この実験結果から粘弾性要素を含めたリンク機構のモデルを作製し、シミュレーションすると、グリップ部の粘性係数は強く握った場合で約1.5N/m/sで、弱く握るとその値が大きくなり、減衰率が高くなることが推察された.今後、ボールとの衝突後にラケットに表れる10〜20Hzの低い周波数の振動も考慮して、モデルを作製する必要があると思われた.
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