2006 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギーのモニタリングとその予防のための包括的健康教育システムの構築
Project/Area Number |
16500443
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
吉本 佐雅子 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (00098550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝野 眞吾 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 副学長 (70098523)
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Keywords | アレルギー / 児童生徒 / 血清IgE / 疫学調査 / モニタリング / 一次予防 / 健康教育 |
Research Abstract |
1.目的 本研究はアレルギーの一次予防を目的に包括的健康管理・健康教育のシステムの構築を目指すものである。このため,本科研課題申請年度の3年度として,兵庫県淡路島の五色町の20年間の定点的児童・生徒の健康実態調査結果からアレルギー状態の基礎的知見を得、アレルギー予防のための学校を拠点とした地域ぐるみの健康教育システムモデルを検索し、健康教育システム構築の準備を行った。 2.方法 対象地域での昨年度までの20年間の生徒の健康実態調査結果について、アレルギー関連項目を中心にデータベースを作成し、健常な子どもにおけるアレルギー状態を分析した。また、予防のため健康教育のシステムに適用できるモデルシステムを検索した。 3.結果および考察 20年間のデータベースを作成、分析を行い、次の結果を得た。アレルギー疾患既往歴の率、抗体血清IgE値異常率は継続調査期間前半に比べ、後半で高くなっていた。血清総IgEが予知因子として有効であり、その基準値を設定した。アレルギー疾患の既往歴をもつ者(多くは幼児期に罹患)は、10-12歳期においても血清IgEは高いレベルを示しており、また、血清IgEが高い者に不定愁訴などの健康問題が多いことを見出した。これらから、現在、アレルギー疾患に対しては、対処療法的な対策が占められているが、今後、一次予防の視点からの健康教育が重要であると認識した。このため、学校を拠点とした健康教育システムのモデルを検索し、WHOが提唱し、現在、西欧諸国、オーストラリアで施行されている「Health Promoting Schools」(HPS)プロジェクトのシステムが有効なモデルになりうる可能性を見出した。このHPSでは、会員となった学校が「健康な学校」になるために必要な支援(関係機関・組織の連携体制の調整・企画作成,情報提供など)を行うシステムを構築している。来年度、アレルギー予防対策へのこのシステムの応用を考案する予定である。
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