2004 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病をもつ高齢者の健康寿命延長をめざした新しい運動処方作成の基礎的研究
Project/Area Number |
16500451
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤本 繁夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90128752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 貴仁 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10381998)
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Keywords | 生活習慣病 / 運動負荷 / 近赤外線 / 組織酸素化能 / 筋内血液量 / 嫌気的解糖閾値 / 脂質燃焼量 / 糖質燃焼量 |
Research Abstract |
生活習慣病をもつ高齢者の健康寿命延長を目標にして、平成16年度はまず漸増運動時の下肢筋肉機能の評価をおこない、下肢筋内代謝からみた新しい指標の作成を行なった。 対象は健常男子15例に自転車エルゴメータにより50-60rpmの回転数での漸増負荷を行い、呼気ガス分析、血中乳酸の測定と同時に、近赤外線分光器により運動中の大腿四頭筋内の酸化ヘモグロビン濃度、還元型ヘモグロビン濃度と組織酸素化能の動態を解析した。漸増負荷に伴い、酸化ヘモグロビンは上昇から低下に移行する閾値をΔO2Hbip、還元ヘモグロビンは増加が急峻になる閾値をΔHHbip、組織酸素化能が低下する閾値をΔTOIip、また筋内血液量の増加がピークになる時点(nTHImax)を検出した。ΔO2HbipはnTHImaxとのみ相関したが、ΔHHbipは嫌気的解等閾値(AT)、乳酸閾値(LT)のいずれとも相関を示したことより、前者は筋内に流入する血流量により、後者は筋内で消費された酸素動態をしめす指標になりうることが示唆された。さらにΔTOIipはATとnTHImaxの両方と相関したことより、運動筋に流入する血液量と消費された酸素動態の両方を備える指標であることを考案した。 さらに自転車エルゴメータにより、高回転(79rpm)と低回転(32rpm)による同一負荷量での持続運動を行い、運動中の筋内酸素化動態と呼気ガス分析による脂肪燃焼量、糖質燃焼量を測定した。運動中の糖質および脂質燃焼量は、同じ負荷強度であっても高回転のほうが低回転よりいずれも高値を示したが、総エネルギー消費に対する脂質燃焼の比は低回転の方が44.6±3.5%と高値を示した。 以上のことから高齢者に対する運動療法として、筋内酸素動態およびエネルギー代謝の立場から、ΔTOIipを指標に低回転による自転車運動が利用できることが示唆された。
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Research Products
(1 results)