2004 Fiscal Year Annual Research Report
身体的コミュニケーションとしての動作速度調整に関する生理心理的検討
Project/Area Number |
16500462
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
成瀬 九美 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (90193581)
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Keywords | 身体的コミュニケーション / Preferred Pace / 速度調整 / ゆっくりとした動作速度 / 協同的身体活動 / 他者意識 |
Research Abstract |
1.様々な動作速度の遂行時に得られる快感情評価をもとに、その因子構造を明らかにした。遅さ・速さのそれぞれに対して快い測度と不快な測度に分類でき、「せかせか(不快な速さ)」「軽快(快い速さ)」「ゆっくり(快い遅さ)」「のろのろ(不快な遅さ)」の4因子が得られた。小筋動作課題(Circle Drawing課題)の遂行数に有意さが認められ、速度の速い順から、「せかせか」「軽快」「ゆっくり」「のろのろ」となり、Preferred Pace(個人の快適測度)は「軽快」と「ゆっくり」の間に位置した。「せかせか」測度の遂行時に難易度は高く、快感情は低くなった。個人のPreferred Paceの遅速は「ゆっくり」測度遂行時の快感情に影響し、Preferred Paceの遅い人は早い人よりも快感情評価が有意に低かった。 2.他者との協同的な活動場面における個人の意識構造を因子分析法によって明らかにした。活動を何とかうまく遂行させようとする参加者の積極的な気持ちを表す『積極的参加の意識』因子、他者の存在を第一として他者に合わせようとする態度を反映する『他者尊重の意識』因子、相手の動きに同調・模倣しようとする『動きの同一性を求める意識』因子が得られた。これらの3尺度は、他者や社会への志向性及び適応性を測定する「社会志向性尺度」との間に有意な相関が認められた。また、他者の気持ちや感情などの内面への意識を表す「内的他者意識尺度」や現前しない他者に対して空想的なイメージを遊ばせる「空想的他者意識尺度」は、『他者尊重の意識』因子と『動きの同一性を求める意識』との間に有意な相関を認めた。一方、協同的活動参加に対する嗜好は『積極的参加の意識』因子と『他者尊重の意識』因子との間にのみ有意な相関が認められた。
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