2004 Fiscal Year Annual Research Report
特定小型無線局を用いた被服内環境計測システムの開発
Project/Area Number |
16500473
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三野 たまき 信州大学, 教育学部, 助教授 (00192360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南澤 信之 信州大学, 教育学部, 助教授 (40362090)
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Keywords | 被服内環境計測 / 被服圧 / 小型無線局 / 呼吸運動 / 呼吸代謝量 / 体脂肪量 / 被服素材 / 有酸素運動 |
Research Abstract |
特定小型無線局を用いた被服内環境計測システムの開発は現在のところ、較正段階まで進んだ。従来の有線形式から無線化へ伴い、特に被服圧測定は身体へ装着するセンサー、圧力変換器、送信機までの小型・軽量化が困難を極めた。圧力変換器はパーマネントのものは高価でかつ重いのでディスポーザブルのものを用い、モジュラージャック・プラグを用いてケーブルも更に軽量化できた。駆動用電源も006P型の電池を用いコストを押さえた。その他被服圧と同時計測を考えている呼吸運動と腹部周径変動も較正段階で、被服内温・湿度と脳波計測は現在調整中である。 他方同時進行として、呼吸代謝量を指標とした被服素材、環境温度、運動負荷による体脂肪を燃焼しやすい条件について調べた。まず、22歳の成人女子1名を被験者とし、連続約2ヶ月間にわたり呼吸代謝量を測定した。測定にあったっては、被験者に自転車エルゴメーターを用いて有酸素運動(HRmaxの50・65・80・35%にあたる運動負荷強度を、順に5分間ずつ計20分間)を与えた。月経周期の指標とした基礎体温は、室温・外気温・運動日数との間に有意な正の相関関係(α≦0.01、α≦0.05)があったが、すべての段階の呼吸商との間にはそれがなかった。つまり、外気温が上がって室温も上がるほど基礎体温は上昇したが、呼吸商は月経周期の位相に左右されないことがわかった。また、50・65%の運動負荷時を除くすべての段階の呼吸商は運動回数・室温・外気温との間に、有意な負の相関関係があった(α≦0.01、α≦0.05)。つまり、呼吸商に影響を与える因子は、運動回数と季節変動であり、季節が暖かくなり、運動回数が増えるほど、呼吸商が低下することがわかった。次に20〜40歳代の成人女子5名を被験者とし、温度(20℃、25℃、30℃)と上衣〔綿100%・ポリエステル100%・その混紡(綿70%、ポリエステル30%)の半袖Tシャツ〕を変えて有酸素運動下で心拍数との関係を検討した。4段階の運動負荷強度時の呼吸商を調べたところ、どの被験者であっても50%運動負荷時が他に比べて最も呼吸商が小さく、糖質より脂質が多く燃焼することがわかった。呼吸商と心拍数との相関係数を算出したところ、環境温度条件では30℃と20℃実験着では綿100%の条件ならば、どの被験者であっても呼吸商と心拍数の間には正の相関関係があった(α≦0.01、α≦0.05)。そこで、この結果のみを用いて呼吸商と心拍数間の回帰直線を求め、呼吸商0.7(脂質が100%燃焼する時)に該当する心拍数を求めた。外挿心拍数は平常時心拍数の107〜146%で、被験者により異なった。つまり、脂肪をより効率よく燃焼させるためには、汗をかく80%HRmax程度の運動負荷よりも、かえって50%程度の汗をほとんどかかない運動の方が、むしろ効果的で上記条件内ならば呼吸商の指標として心拍数を用いることができることがわかった。
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