2005 Fiscal Year Annual Research Report
特定小型無線局を用いた被服内環境計測システムの開発
Project/Area Number |
16500473
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三野 たまき 信州大学, 教育学部, 助教授 (00192360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南澤 信之 信州大学, 教育学部, 助教授 (40362090)
|
Keywords | 特定小型無線局 / 時定数 / 分解能 / 高抵抗ケーブル / 被服圧 / 圧感覚 / 視覚刺激 / 中立温域 |
Research Abstract |
特定小型無線局を用いた被服内環境計測システムの仕様を以下に述べる。システムの時定数は約16msで、ゼロ点の変動はほぼ認められなかった(測定温度、35℃、37℃、39℃)。また、分解能は4.0Paであった。ただし、設計した前置増幅の出力電圧が充分に大きいので、既存の増幅器や減圧器を使用した範囲内で、目的信号を捉えらきれなかった。そこで高抵抗ケーブルを途中に挿入することによりその間題を解決した.ただし、応答速度は30.3±7.5ms(n=32)と遅くなった。また,この高抵抗ケーブルの抵抗値を変えることで当時予定していた,衣服による拘束で発生する3kPa程度の低い圧計測のみならず,靴にかかる高い圧(推定20kPa程度)までもの圧を計測できる可能性が生じた.ただし,本ケーブルを挿入しても30ms程度の応答速度であることから、本計測システムはヒトの動き(単一筋繊維の収縮時間は約100ms)や呼吸運動(2から3秒)による被服圧の変化を充分追従できることがわかった.その他本年行った2つの実験を以下に報告する。 (1)健康な7名の成人女子(24.4±10.0歳)を用い、ウエストベルトと浴衣着用時の圧感覚の違いについて明らかにした。夏と冬に測定したウエストベルト圧は夏に比べ、冬では有意に59.3%に増加した(α【less than or equal】0.01)。これは同日に測定した体重・最大胸囲・最小腹囲がウエストベルト圧同様、夏に比べ冬に有意に重くかつ長くなったとこに起因したと考えられる。さらに同日浴衣を着用した結果は、帯下の腰紐面と胸紐面の圧が最も高かったが、帯下の腰紐面の圧は他の面の圧と正の相関関係にあり、浴衣の胴部に発生する被服圧を類推できることがわかった。また、和服の着装経験は帯の締め方に影響しており、経験の豊富な者程帯圧は低かった。ウエストベルトと浴衣着用の圧と圧感覚の関係を調べたところ、前者は月経周期やきせつの位相によって有意な差が認められたが、後者には有意な差がなかった。つまり、浴衣を着付けるための腰紐は月経周期や季節の位相に伴う体型の変動を考慮して日々調節して締めていることがわかった。また、両者共に有意な直線関係が認められたが、その勾配は前者に比べ後者が38%ゆるくなった。このことから浴衣を着用する時には、ウエストベルトを着用するときに比べ、圧感覚が鈍くなることがわかった。つまり、浴衣を着付けるために圧の要求量が大きくなることがわかった。 (2)中立温域(27.5℃、RH:50%)における視覚刺激が皮膚温へ及ぼす影響を調べた。被験者は20代の成人女子9名であった。外気温をわずかに変化させることによって測定したヒトの温冷感覚は、Y=0.73X-3.00×10^<-4>と感度の良いことがわかった。室温が一定の状態で青のメガネを着用すると、皮膚温が着用前に比べ、上昇する被験者と下降する被験者がおり、個人差が認められた。青のメガネ着用によって皮膚温が低下する被験者については、今後環境温度との詳細を更に検討すべきと考えられる。
|
Research Products
(3 results)