2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500476
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
冨士田 亮子 岡山大学, 教育学部, 教授 (00069163)
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Keywords | 生活科学 / 住宅の維持管理 / 住生活 / 伝統的な住宅 / 清掃 |
Research Abstract |
伝統的住宅において清掃をはじめとした住宅を維持管理するために、居住者がどの様な手法を用い、現在までどの様に受け継いでいるかを明らかにする。伝統的住宅地の現在まで引き継がれている清掃をはじめとした住宅の維持管理の実態と意識を把握し、時代による変化、用具、考え方を明らかにする。あわせて、今後の住宅の維持管理に活かす方法、また、住文化的にも現代生活において引き継いでいったらよいと思われることを明らかにする。 調査対象地域と対象家庭は、重要伝統的建造物群保存地区である岐阜県美濃市、大阪府富田林市、岡山県高梁市吹屋および伝統的生活習慣を色濃く残している京都市中京区の1985から1987年に実施した調査家庭である。美濃市5家庭、富田林市3家庭、吹屋3家庭、京都市中京区3家庭、計14家庭である。調査内容は、家族の状況、住宅の間取り・使途など、日常清掃の方法、用具、頻度の実態と清掃意識についてである。 1)対象家族は、子ども独立離家後の高齢者夫婦を中心としている。2)台所、食事室、店舗空間を除いて室内の改造は少なく、伝統的な構造、内装、外装である。また、部屋数の変化も少ない。部屋数は、台所を除いて2〜9室である。3)日常の清掃は、玄関、台所、居間などの日常用いる部屋を中心にして行われている。普段使わない座敷廻りや表の格子は、月命日などの行事や来客時前、及び年末の大掃除に行われている。用具は、掃除機ばかりでなく、使い慣れて軽い箒、はたき、雑巾が使い続けられている。掃除の時間帯は、京都の「かどはき」を除いて、朝食後で、10〜90分かけて行っている。そして、高齢者家族の場合、夫婦が協力して行うようになっている。4)家庭内の清掃は、しなければならないものとしており、業者を利用ることは考えられていない。また、使い捨てシートやレンタル雑巾の使用も考えられていない。5)20年前には、主婦(妻)、使用人が主に担当していたが、夫も行うようになっている。また、清掃時間帯は、朝食前から朝食後や手の空いたときに移行し、日常の清掃範囲は縮小の傾向である。6)畳をあげる大掃除は昭和30年代後半に行われなくなっており、年末の煤払いが大掃除となっている。年末には、表の格子の拭き掃除、煤払いや室内の丁寧掃除を行う。7)調査対象住宅の内装、外装材は無垢材であるため、新築時以降の継続した清掃習慣が材の艶を出し、汚れを取りやすくし、丁寧に住みこなしている様子である。生活習慣の積み重ねの大切さを感じさせられる。
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