2005 Fiscal Year Annual Research Report
キノコ由来多糖は小腸上皮細胞を介して免疫細胞を賦活化する
Project/Area Number |
16500509
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 雅史 神戸大学, 農学部, 教授 (00212233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 均 神戸大学, 農学部, 教授 (90201889)
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Keywords | マクロファージ / 高分子多糖 / 腸管免疫 / 小腸上皮細胞 / TNF-α |
Research Abstract |
キノコ由来の多糖類は、マクロファージの表面に存在する初期免疫に重要であるTLR4を介して認識される。しかしながら、本来高分子体である多糖類が体内に吸収されるか否かについては、はっきりとしたデータが出ておらず、論議されている。もし、吸収されないとしたら、これまで検討してきた活性化機構が本当に起こるのかどうかには、疑問符が付くところである。そこで、キノコを経口摂取した条件のモデル系として、粘膜側に小腸上皮細胞であるCaco2細胞を、基底膜側にマクロファージであるRAW264.7細胞をそれぞれ配置した共培養系を構築し、キノコ由来多糖が小腸細胞を介してマクロファージを活性化し、TNF-α産生が増強されるかどうかを検討した。粘膜側にレンチナンを添加した際、粘膜側にほぼ100%レンチナンは残存しており、基底膜側からは検出されなかった。このことは、レンチナンのような高分子多糖は、小腸上皮細胞からは吸収されることはないことを示唆していた。一方、Caco2細胞と同時に基底膜側にマクロファージ様細胞であるRAW264.7を配備した共培養系では、基底膜側にTNF-α産生が認められた。このことは、シイタケ中に含まれる抗腫瘍性多糖レンチナンは、それ自体はRAW264.7を刺激してTNF-α産生を促す作用は有しないが、Caco2細胞を介することによって、なにがしかの刺激反応あるいは細胞間同士の情報交換が行われ、マクロファージが活性されることが明らかとなった。 マクロファージから産生されるTNF-αは、活性酸素によるシグナルトランスダクションに関与している。そこで、スーパーオキサイドを消去する酵素であるSODと、過酸化水素(H_2O_2)を消去する酵素であるCATを基底膜側に添加し、どちらの活性酸素がマクロファージの賦活化に関与するのか調べた。その結果、CAT濃度200U〜50U/mlまではTNF-α産生は90%以上阻害されたが、同条件でSODを添加した際には、TNF-α産生は全く阻害されなかった。この結果より、腸管上皮細胞は、レンチナンの刺激によりH_2O_2を産生し、このH_2O_2がマクロファージを刺激し、TNF-α産生を誘導している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)