2004 Fiscal Year Annual Research Report
食肉スープストック中のペプチドに及ぼす食肉種の影響および調理条件の検討
Project/Area Number |
16500513
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田島 眞理子 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (10117541)
|
Keywords | 牛肉 / 鶏肉 / ペプチド / コラーゲン量 / スープストック |
Research Abstract |
加工食品の味のベース、あるいは各種調味料のベースとなるスープストックは、食品加工の上で不可欠である。スープストックの味はうま味成分の1つであるイノシン酸を中心とするエキス分であるが、その他、より高分子の種々のペプチドを含み、これらはスープのこくや味の持続性に影響すると思われる。スープストックに溶出するペプチドのうちには、近年、関節や軟骨の重要な成分としてその摂取が勧められているコラーゲンからの分解物質の溶出が含まれる。そこで、コラーゲンの溶出について牛肉(もも肉)と鶏肉(手羽肉)をとりあげ、比較を行った。 溶出タンパク質量をビュレット法で測定する場合、その検量物質としてどのようなタンパク質を用いるかによって検出量が異なるため、牛血清アルブミンとゼラチンを標準物質として牛肉および鶏肉スープストックの溶出タンパク質量を測定したところ、検量物質によって約4倍程度の差が見られた。両スープストックの溶出タンパク質のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によるパターンにも大きな差が見られ、牛肉スープストックで30kDaおよび28kDa程度の2本のポリペプチドのバンドが主に観察されたが、鶏肉スープストックでは、約100kDaから35kDaまでに複数のバンドが観察され、鶏肉スープストックでより高分子のポリペプチドが多く溶出することが明らかになった。そこで、両スープストック中に溶出するコラーゲン量をp-ジメチルアミノベンズアルデヒド法により定量した結果、肉1gからスープストックへ溶出するコラーゲン量は鶏肉スープストックで牛肉スープストックの10倍以上に達した。 タイプIコラーゲン量を簡便に測定するためのエライザ法についても検討を行なったが、現段階では、反応条件の選択を行う段階で、今後p-ジメチルアミノベンズアルデヒド法による定量結果との比較を行う予定である。
|