2005 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性を惹起する食事因子-特に脂肪摂取量と脂肪酸組成-
Project/Area Number |
16500523
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Research Institution | Aichi-gakusen University |
Principal Investigator |
伊藤 和枝 愛知学泉大学, 家政学部, 教授 (80104983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 新平 愛知学泉大学, 家政学部, 教授 (80023802)
江嵜 千寛 愛知学泉大学, 家政学部, 助手 (70410595)
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Keywords | 血糖 / インスリン / 脂肪摂取量 / 高飽和脂肪酸食 / 脂肪酸組成 / ヒト / インスリン作用不足 / 食事管理下 |
Research Abstract |
[目的]肥満のみならず、運動不足、ストレスがもたらす、インスリン抵抗性は、高血圧、高脂血症、糖尿病の発症要因であることは周知されている。本邦における糖尿病の著しい増加は、インスリン分泌能の低いという遺伝因子に加えて、食生活特に総脂肪量ならびに動物性脂肪の摂取増加が考えられ、我々の臨床疫学研究からも、インスリン抵抗性の増大に脂肪特に飽和脂肪酸の関与が示唆された。本研究では、ヒトを対象に食事管理下で、インスリン抵抗性と脂肪摂取量ならびに脂肪酸組成の関連を食事負荷試験<MTT:Meal Tolerance Test)により明らかし、生活習慣病の予防・治療に寄与する。[対象と方法]対象は平均年齢22.1歳の健康な若年者10名(男2、女8)である。エネルギー、たんぱく質、単純糖質、複合糖質、食物繊維を同一とし、脂質エネルギー比30%とし、S:M:P比=3:4:3、n-6/n-3比 4:1の検査食(F-30)を5日間管理下で摂取して頂き、試験食開始前と5日間負荷後にMTTを行い、0分、食後30分、60分、120分の血糖、インスリン、C-ペプチドを測定した。性周期をあわせた3週間後、脂質エネルギー比30%とし、S:M:P比=5:4:1、n-6/n-3比を4:1とした高飽和脂肪酸食(FB-30)をF-30と同様に5日間摂取して頂き、MTTにより、血糖、インスリン反応を比較検討した。[結果]検査食5日間後のMTTによる血糖値は0分値でFB-30がF-30に比し有意に高く、30分、60分に差がなく、120分値もFB-30がF-30に比し有意に高値を示した。インスリンは、0分、30分、60分、120分のいずれに於いてもFB-30,F-30の間に差を認めなかった。Σ血糖はFB-30がF-30に比し有意に高く、ΣインスリンはFB-30,F-30に差を認めなかった。Σインスリン/Σ血糖は、FB-30がF-30に比し有意に低く、FB-30で血糖の取り込みに必要なインスリンの分泌が抑制された可能性とインスリンの作用不足が考えられた。血糖120分値がFB-30で高値を示し、高飽和脂肪酸食で血糖の取り込みが悪くなった可能性が考えられ、5日間負荷後の食前の血糖値がFB-30で高値を示したと考えられた。[結語]高飽和脂肪酸食がインスリンの分泌抑制や作用不足を齎し,耐糖能を悪化させることが示唆され,今日の糖尿病の増加を齎している可能性が考えられた。
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