2004 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質・脂質混合システムを用いた可食性フィルムの創出とその形成機構
Project/Area Number |
16500530
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
太田 尚子 日本大学短期大学部, 食物栄養学科, 助教授 (00203795)
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Keywords | 可食性フィルム / 脂肪酸塩 / アルギン酸ナトリウム / β-ラクトグロブリン / 小麦タンパク質 |
Research Abstract |
本年度は、β-ラクトグロブリン、グルテンおよびグリアジンタンパク質を用いて、カプリン酸ナトリウム添加によるゲル並びにフィルム形成を試みた。 β-ラクトグロブリンの場合には先に報告したカプリン酸ナトリウム誘導ゲル形成条件(タンパク質濃度10-14%,カプリン酸ナトリウム3-4.2%,付加イオン強度0.2M, pH7.5)で直径3cmのクッキー型を用いて調製した混合懸濁液を相対湿度50%,23℃のデシケーター内に3日間保存する事でゲル化させ、ゲルをオーブンシートに挟み変え、重しを負荷して水分を蒸発させフィルム化出来ることを見出した。 次に、小麦タンパク質としてグルテン並びにグリアジンタンパク質を用いた脂肪酸塩誘導ゲル及びそのフィルム化を試みた。これらのタンパク質の溶解特性からまず、エタノールを用いてサスペンジョンを調製した。グルテンではシステインおよびアルギン酸ナトリウム添加多糖混合システム、グリアジンタンパク質ではオレイン酸ナトリウムおよびグリセロール添加による脂質混合システムを用いて上述のβ-ラクトグロブリンと同様の方法でフィルムを調製した。(但し、グルテンの場合には加熱処理が必要であった。)形成したフィルムの特性を種々の方法で評価した。その結果、グルテンタンパク質フィルム系に対するアルギン酸ナトリウム添加は、フィルムの微細構造に大きな影響を与え、同系のゲルにおいて繊維状ネットワークが観察されたのに対して、そのフィルムでは微細な球状粒子の集合体から成るネットワーク形成に寄与することが判った。また、グリアジンタンパク質フィルムに及ぼすオレイン酸ナトリウム添加はフィルムの水蒸気バリヤー性を高めること、また、グリセロールはフィルムの伸展性を増加させる事が明らかになった。
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