2005 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質・脂質混合システムを用いた可食性フィルムの創出とその形成機構
Project/Area Number |
16500530
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
太田 尚子 日本大学短期大学部, 食物栄養学科, 助教授 (00203795)
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Keywords | 可食性フィルム / 乳清タンパク質 / 脂肪酸塩 / 微細構造 / 伸展性 |
Research Abstract |
まず、グルテン-エタノール混合系にオレイン酸ナトリウムを添加することにより常温下でゲル並びにフィルムを形成した。形成したフィルムは、グリセロールを可塑剤として調製したものに比べ、伸展性が低く且つ水蒸気に対するバリヤー性が高い事が判った。また、フィルム形成時のタンパク質二次構造変化をフーリエ変換赤外分光分析により解析したところ、フィルム化に伴い分子間β-シートが顕著に増加している事が判った。 次に、牛乳ホエータンパク質として、β-ラクトグロブリン及びホエー分離タンパク質を用いてカプリン酸ナトリウム添加によるフィルム形成を行った。即ち、フィルム化に先立ち約1週間相対湿度50%室温にて保存しゲル化させ、その後4日間水分を蒸発させる為、吸湿性の重石を置いてフィルム化した。形成したフィルムの物性を曲げ強度測定により評価し、更にフィルムの微細構造を走査型電子顕微鏡観察により調べた。その結果、無添加フィルムに比べて脂肪酸塩添加フィルムは伸展性が大きく、その構造はより滑らかになっている事が判った。また、β-ラクトグロブリンとホエーフィルムを比較した場合、混合タンパク質から成るホエータンパク質フィルムのほうが凹凸の多い構造をしている事が判った。以上のことから物性と微細構造の間に相関性があり、より均質な構造を持つフィルムの伸展性がより大きいことが判った。
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