Research Abstract |
高校までの関数の学習が公式への当てはめと計算中心で行われていることが多いため,関数を実際の場面で使えない学生が非常に多い。本研究は,とくに,高校生,文科系学生を対象にできるだけ多くの現実場面で関数を利用する機会を作ることで,生活の中で関数を活用し問題解決ができるようにすることを目的としている。「関数」には「対応」,「変化」,「写像」の3つの考えがある。本研究ではその中で「変化」に注目し,現実問題の中で変化する事象を表すツール(竹之内、2002)と捉えている。学習指導要領をはじめ,多くの人たちがいっている「関数的な考え」を拡張し,コンピュータやグラフ電卓などのテクノロジーを有効に利用し,表,グラフ,代数式,さらに図形を視覚的かつ統合的に扱いながら,変化する事象を関数式やグラフ,図で表現し,問題解決出来る能力を"関数センス"と呼んで,"関数センス"を育てることができるような教材開発を行っている。本年度は,たとえば動き,速度を表計算ソフトとグラフ電卓を統合的に利用し,視覚的に捉え,微分という概念を探求できるシミュレーション環境を作り,高校生,大学生で実験し,その効果を見ながら改善している。さらに,図形を動かすことによって起きる変化を捉えるような事例についても"関数センスの育成".に加えて,教材開発をしている。1つの例は1つの四角形を面積,辺の長さ,対角線の長さを統合的に関数的に扱う環境を開発した。また,折り紙と図形学習ソフトを利用し,折る時の辺や角の関係を表現し,関係を捉えていくという活動を教材化し,いろいろなワークショップで試み,意見を聞き,改善している。現在はこれらの教材のWebとテキスト作成の準備を進めている。
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