2005 Fiscal Year Annual Research Report
首都圏における短時間強雨の発生と地表面被覆の空間構造との関係に関する地理学的研究
Project/Area Number |
16500644
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高橋 日出男 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40202155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 康子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (20293003)
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Keywords | 東京都区部 / 短時間強雨 / 時間降水量分布 / 建築物 / 天空率 / 地表面粗度 / 数値地表モデル |
Research Abstract |
本年度は短時間強雨の発生と地表面被覆の空間構造との関係について,以下の2つの観点から解析を進めた. 1.短時間強雨の発生に至る降水域の挙動 昨年度までにデータベース化した空間的に稠密な時間降水量データを基に,強雨発現頻度が高い東京都区部の北部(板橋〜足立)と西部(中野〜世田谷)について,強雨発生時前後における時間降水量分布の推移を調べた.都区部の北部・西部ともに,その場所で突然強雨の中心が出現する場合が多く認められた.一方で,東京・埼玉の都県境を東進してきた降水域が都区部北部で発達することも多い.しかし,都区部西部においては,東京・埼玉の都県境を東進してきた降水域の接近時に,新たに発生した強雨域として認められる場合も多い.今後降水の発生・発達域を抽出し,その地域性を検討したい. 2.都市における地表面パラメータの解析 都市域における重要な地表面パラメータとして,都市ヒートアイランド現象とも関連が深い天空率と地表面粗度を取り上げ,東京都区部全域における空間分布の解析を進めた.パラメータの算出にあたり,建築物等の形状を再現できる格子間隔2.5mの地表面高度データ(数値地表モデル)を使用した.天空率については計算が終了し,地表面粗度の算出を行っているところである.天空率は都市の放射環境に関するパラメータとして都市の気温分布などとの関係が議論されてきた.しかし,本解析から,ある点で測定された天空率が代表する範囲はきわめて小さいと考えられ,都市気温分布などとの対応を考えるためには天空率の「スケールアップ」が必要と考えられる.そこで,1km四方における天空率ヒストグラムを解析した結果,都心部の代表的な天空率は0.5〜0.6であり,周辺に向かって小さい天空率を残しつつ0.8〜0.95の領域が増加し,東京湾岸の埋め立て地や河川敷では0.95以上の値となることが明らかにされた.
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Research Products
(2 results)