2006 Fiscal Year Annual Research Report
首都圏における短時間強雨の発生と地表面被覆の空間構造との関係に関する地理学的研究
Project/Area Number |
16500644
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高橋 日出男 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40202155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 康子 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (20293003)
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Keywords | 東京都区部 / 短時間強雨 / 建築物 / 空気力学的粗度 / ゼロ面変位 / 風速分布 |
Research Abstract |
強雨の発現と地表面状態との関係を明らかにすることを目的とし,昨年度の研究結果として得られた強雨頻度分布と建築物分布との対応を,さらに定量的に評価することを試みた。建築物を含む2.5m間隔の地表面高度データ(DSM)を用いて,Macdonald et al.(1998)とRaupach(1992, 1994, 1995)の方法を比較しつつ,東京都区部における地表面の空気力学的パラメータ(ゼロ面変位Z_dおよび空気力学的粗度Z_o)を求めた。また,風速の対数分布に基づいて,予察的に空気力学的パラメータの空間分布に起因する水平風速や上昇風速分布の評価を行った。得られた結果は以下のようにまとめられる。 1.地表面の空気力学的パラメータ(Z_dとZ_o)を求める基礎となる幾何学的形状パラメータ(Z_Hやλ_F,λ_p)は,DSMデータによって十分な精度で算出できる。 2.Macdonald et al.(1998)の方法では,河川沿いのZ_oが周囲に比べて過大(Z_dが過小)になることから,空気力学的パラメータの算出にはRaupach(1992, 1994, 1995)の方法が妥当と判断される。 3.得られたZ_dとZ_oを基に,高度250mで風速10m/s一様として上昇風速を求めると,新宿や霞が関付近で0.2m/s程度となり,風向によって上昇流域に差異が現れる。東京都区部に存在する強雨頻度の顕著な局地性は,その空間配置の対応性から判断して新宿〜目黒付近,池袋付近,皇居を中心とする都心中心部,および品川付近における高層建築物群が形成する大きな地表面粗度と関係を有していると判断される。また,水平風速分布を求めると,南北方向の風を想定した場合に都区部西部において大きな風の水平シアが下層に認められ,そこに発生する渦が風下側に積乱雲を形成するきっかけとなる可能性も考えられる。
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Research Products
(1 results)