2004 Fiscal Year Annual Research Report
物理モデルと統計モデルを融合したハイブリッド地形変化シミュレータの開発
Project/Area Number |
16500647
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
隈元 崇 岡山大学, 理学部, 助教授 (60285096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 大地 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90336511)
田中 靖 駒澤大学, 文学部, 講師 (80348888)
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Keywords | 地形変化シミュレータ / 山地地形計測 / DEM解像度と地形表現 / 崩壊地の規模頻度分布 / 5m-DEM / 斜面の勾配頻度分布 / 斜面の曲率頻度分布 / 流露網の構築 |
Research Abstract |
本研究で構築を目指す地形変化シミュレータは,河川の最上流部から河口まで流域全体を対象として地形変化を論ずることが可能なモデルを組み込むことが技術上の課題である.その実現のために,(1)デジタル標高モデル(DEM)の作成および流域処理,(2)流域内の地すべり発生の確率評価,さらに,(3)主に侵食域である上流部と堆積域となる下流部を結合する拡散モデルの高度化について作業を進めてきた.この中で,初年度(平成16年度)は,DEMの作成および流域処理に関して次のような知見を得た. DEMの解像度の変化にともない,勾配・ラプラシアンの計測値のヒストグラムがどのように変化するかを検討した結果,山地斜面の地形を正確に把握するために一つの単位斜面を区切るには,25mよりも高解像度のDEMが必要であることが分かった一方で,DEM解像度が75mよりも粗くなると,平均的な尾根一谷の組み合わせの周期を超えてしまうことになり,個別地点における微分的な評価は意味をなさない. 次に,流域内に卓越する崩壊地規模の分布から,崩壊地の地形計測に必要とする解像度について検討した結果,崩壊地内部の地形分類など,崩壊発生機構の基礎データとして地形を観察するためには,さらに高解像度の最低5〜10mのDEMを必要とすることを明らかとした. 最後に,流路網の構築の精度という視点から,必要とする解像度を検討した.水文地形学的には,上流の小流域を正確に定義できる解像度のDEMが必要となる.対象としている流域の面積と,流域抽出に必要なピクセル数の関係から,10m程度の解像度のDEMがあれば,流路網はこれらの研究での実用的なレベルで抽出できることとなる. 以上のことから,地形変化シミュレータの山地域の実装には,最低25m,理想的には5〜10m程度の解像度のDEMが必要であることが判明した.
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Research Products
(1 results)