2004 Fiscal Year Annual Research Report
農山村におけるプロダクティブエイジング創成とその社会的持続性に関する地理学的研究
Project/Area Number |
16500649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 俊夫 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (50169827)
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Keywords | プロダクティブエイジング / 農山村 / 高齢者 / コミュニティ / 生態的環境基盤 / 社会的持続性 / 老人専業農家型 / 老人ホビーファーム型 |
Research Abstract |
プロダクティブエイジング(productive aging実りある加齢)は、高齢者が経済的な生産活動を行うことで、生き甲斐をもちながら地域に居住し生活することであり、そのような現象に関する従来の地理学的研究は実態の解明と地域への影響の分析を中心にしてきた。しかし、既存研究を系統的にレビューすることによって、プロダクティブエイジングがどのようなプロセスとメカニズムをもって創成するのかを諸環境の条件や地域資源との関わりで実証的に明らかにすることや、プロダクティブの効用としての社会的持続性に関して検討することが不十分であることがわかった。そこで、本研究は最初に、プロダクティブエイジングの現象と環境条件や地域資源との相互関係や、それらがつくりだす社会的持続性を検討するためのフレームワークを構築した。つまり、プロダクティブエイジングは高齢者とそのコミュニティ、および彼らの非経済的活動ないし経済的活動、そしてそれらを支える生態的環境基盤の諸要素の有機的な結合によって成立し、その結合が地域社会とどのように結びつくかが社会的持続性の成熟度に反映されることになる。以上に述べたフレームワークを踏まえ、日本における高齢者の居住分布を時間的、空間的に検討すると、近年では都市近郊外縁部や都市遠郊の農山村での高齢者居住が目立っている。これらの居住地におけるプロダクティブエイジングを経済的活動や非経済的活動の特性から類型化すると、老人専業農業型と老人ホビーファーム型が多くみられた。それらの類型の中で、都市近郊外縁部の老人専業農家型の事例として狭山丘陵地域を抽出し、プロダクティブエイジングが地域の里山保全活動を通じて、環境資源やルーラルティの維持に貢献し、流入してきた都市住民コミュニティと社会的持続性を構築してきたことを実証的に明らかにした。
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