2005 Fiscal Year Annual Research Report
農山村におけるプロダクティブエイジング創成とその社会的持続性に関する地理学的研究
Project/Area Number |
16500649
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 俊夫 首都大学東京, 都市環境学部, 准教授 (50169827)
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Keywords | プロダクティブエイジング / 社会的持続性 / ソーシャルネットワーク / ソーシャルキャピタル / 有機農業 / 多品目少量生産 / 老人専業型 / 老人ホビーファーム型 |
Research Abstract |
プロダクティブエイジング(productive aging 実りある加齢)は、高齢者が経済的な生産活動を行うことで、生き甲斐をもちながら地域に居住し生活することであり、そのような現象の実態解明と地域への影響分析を中心に研究を進めた。プロダクティブエイジングの主要な類型の1つであるアーバンフリンジの老人専業型を狭山丘陵と常総台地で調査した。前者の事例では、プロダクティブエイジングが地域の里山保全活動を通じて、環境資源やルーラルティの維持に貢献し、流入してきた都市住民コミュニティとの社会的持続性を、ソーシャルネットワークやソーシャルキャピタルを十分に構築することで達成してきた。この事例に関する結果は、2005年7月にイタリアで行われた国際地理学会で公表され、その議論を通じて外国の事例との共通性と異質性が明らかにされた。後者の事例では、プロダクティブエイジングが他地域と異なる付加価値として有機野菜の栽培を行い、その多品目少量生産と年間農業労働力の平準化、および伝統的な農法を重視する姿勢がプロダクティブエイジングの創成に重要な因子となった。つまり、プロダクティブエイジングに適応した生産システムと有機農業とが結びつき、野菜栽培の専業経営が発達したといえる。この結果は、2005年9月にオーストラリアで行われたIFOAM(国際有機農業機構)総会で研究発表し、有機農業とプロダクティブエイジングの関連を議論した。以上に述べた研究に加え、アーバンフリンジにおける老人ホビーファーム型として小平市や清瀬市を調査した。これらの調査の分析は補足調査を含めて次年度に行う。さらに、都市遠郊のプロダクティブエイジングの事例として、青梅市吉野梅郷と富山県富山市八尾、および滋賀県長浜市の調査を行った。これらの分析も補足調査を含めて次年度に行う。
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Research Products
(7 results)