2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国・上海における都市ヒートアイランド現象の実態解明に関する研究
Project/Area Number |
16500650
|
Research Institution | Tohoku University of Community Service and Science |
Principal Investigator |
白 迎玖 東北公益文科大学, 公益学部, 助手 (50372884)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 岳彦 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10114662)
|
Keywords | 都市ヒートアイランド現象 / 上海 / 高密度自動観測システム / 気象観測 / UHIの実態 |
Research Abstract |
現在、先進国のみならず、途上国においても、都市ヒートアイランド現象(Urban Heat Island、以下UHIと略記)が顕著になり、都市の熱環境が悪化している。特に、中国・上海をはじめとする途上国の大都市では、産業や人口等の一極集中化に伴い、人口密度が過度に高くなっているため、UHI現象が頻繁に発生し、さらに夏期の日中の最高気温が40℃を超える日も出現している。 本研究の目的は、上海において高密度自動観測システムを初めて構築し、長期間にわたって気象観測を実施して得られたデータに基づいて、上海におけるUHIの実態を解明することである。さらに、観測データと数値モデルを用いたシミュレーション計算結果の比較検討を行い、精度の高い予測モデルを確立し、そのモデルによりUHI現象の再現や緩和策効果を予測する。そして、これらの成果を用いてUHI緩和のための有効な上海の都市区画整備・開発計画を提案する。 平成16年度は、現地調査を実施するとともに、途上国の実情に鑑み、観測およびシステム保守のコストを抑えながら、上海で高密度自動観測システムの構築を行った。2005年3月現在では、上海市をカバーする29箇所の公用緑地で簡易自動観測網(百葉箱内の小型自動記録式温度・湿度ロガー)を設置した。10分間隔で記録したデータを約50日ごとに回収すると同時に、得られた観測記録のデータベース化を進めている。観測によると、上海では風の弱い晴天夜間にUHIが発生している状況である。また、夏期の上海市内における詳細な気温分布図の作成、上海におけるUHIの把握に向けて、2005年5月末までには市の中心部にある公用住宅地で10箇所を追加設置する予定である。今後、観測データを気象学的に検討・分析することによって、上海におけるUHIの実態を解明する。さらに、観測データと数値モデルを用いたシミュレーション計算結果の比較検討を行う計画である。
|