2004 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンにおける溜池農業水利用の安定化に向けた流域環境解析
Project/Area Number |
16500651
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
森島 済 江戸川大学, 社会学部, 助教授 (10239650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 暁信 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (10313016)
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Keywords | 溜め池 / 流域環境 / 土壌特性 / 植生履歴 / 流出特性 / フィリピン |
Research Abstract |
本研究は,フィリピン・中部ルソン島において,地表面状態(植生・土壌の物理特性)が異なる2つの溜池集水域の水文特性を調査し明らかにすることで,地域の持続可能で安定した農業経営に資することを目的としている.地図情報がほとんど存在しない本地域で初年度に行った重要な項目としてヴィラ・ボアド集水域における測量と地形図作成が挙げられる.この成果により,正確な集水域の面積と細かな地形情報が判読可能となり,下記に列挙した様々な自然環境情報を地理情報として整理することが可能となった.本年度行った調査及びその成果の一部を如何に挙げる. 1.気候環境調査:ヴィラ・ボアド集水域にはデータロガー付雨量計が既に設置されていたが,新たにブーテッド・ツー集水域に雨量計を設置し,両集水域の降水量比較が可能となった.また,ヴィラ・ボアド集水域では気温・地温・風向風速等の気象要素を継続して観測しており,風向・風速データに欠測が多いものの,徐々にデータが蓄積しつつある. 2.植生調査:植物社会学的植生調査を行ったほか,各コドラートにおいて土壌サンプルを採取し、分析した。また,文献調査ならびに土壌解析の結果から、対象地における潜在自然植生を調べ、各サイトの植生遷移度を判定した。草本植生履歴を明らかにするために,草本サンプルを採取しプラントオパール標本を作成した.これにより土壌中のプラントオパールとの比較が可能となった. 3.土壌水分調査:テンシオメータを20cm,1m,2m,3mの深度に埋め込み,地下水面に至る土壌水の動態のモニタリングが可能となった.この過程で,膨潤性土壌の存在が明らかとなり,流出過程にも大きな影響を与えている可能性が示唆された.
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