Research Abstract |
猪苗代湖は,過去10年間に渡ってpHの緩やかな上昇が観察されているが,この原因は明確にはされていなかった。また,2003年より,湖内の20μm以下の微細な植物プランクトンによる光合成(一次生産)量は低下しており,この原因が無機炭素の減少によるものか,光制限などの物理的な制限であるのかを特定しようと試みた。 得られた結果として,猪苗代湖の年平均C:N,C:P比は,表層5m層でそれぞれ,11±2と330±110,12±9と362±76,2005年は8.5±1.0と354±82,8.7±1.1と324±51であった。C:P比が非常に高いことに加え,湖の全リン濃度が検出限界である0.10μmolL^<-1>以下であったことから,植物プランクトンの生長がリンに厳しく制限されているのは明らかである。また,硝酸態窒素濃度は2004年,2005年とも常に14μmolL^<-1>以上に保たれて欠乏しないことから,C:N比については,微生物群集の生理状態を反映した結果が,見かけ上,窒素制限となったものと思われる。バクテリア群集による^<13>CH_3COONa取り込み速度は,2005年の全ての月で,添加濃度が6.0μmol^<13>CL^<-1>までは一次反応的に上昇し,その後,ほぼ一定となった。 猪苗代湖より単離したバクテリア7種を用いて,バクテリア個々の有機物取り込み能力の違いを調査した結果,7種のバクテリアの^<13>CH_3COONa取り込み速度には,数倍から数十倍の大きな違いが見られた。バクテリアNo.3,12,26の3種の単株を用いて,アルミニウムがバクテリアの^<13>CH_3COONa取り込みに及ぼす影響の調査を試みた。その結果,塩化アルミニウムを添加したものは,調査した全てのバクテリアで取り込みの抑制が見られた。しかし,硝酸アルミニウム,リン酸二水素アルミニウムを添加したときは,取り込み促進,抑制,影響を示さないものなどその効果にばらつきが見られ,阻害効果にも生物間に違いが認められた。
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