2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16510003
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 泰哲 山形大学, 理学部, 教授 (60007177)
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Keywords | 湖沼 / 嫌気層 / 曝気実験 / 溶存有機物 / 鉄の酸化還元 / 溶存有機物の共沈 |
Research Abstract |
溶存有機炭素(DOC)の鉄(III)の沈殿との共沈現象を解明するため、夏季成層期に嫌気的となった小野川湖深水層の湖水を嫌気的に採水し、曝気実験を行った。実験は、蓋を取り、開口部約60cm^2の、1リットルガラス瓶中試水を、スターラーで攪拌する実験と(10月18日〜19日、11月1日〜2日)、そのまま放置する実験(10月18日〜21日)の2種類行った。 スターラーで攪拌すると24時間で、溶存酸素は0mgL^<-1>から7.6mgL^<-1>に増え、溶存鉄は98%から5%に減少し、DOCは32〜48%減少した。そのまま放置すると24時間後にDOCは3%減少したが、この減少は有意ではなかった、48時間後に、溶存酸素は0mgL^<-1>から2.2mgL^<-1>に増え、溶存鉄は98%から31%に減少し、DOCは20%減少した。この減少は、p<0.01で有意であった。さらに24時間放置しても、溶存酸素は3.9mgL^<-1>に増え、溶存鉄は5%にまで減少したが、DOCに変化は見られなかった。 曝気中に、水色は透明から濃い橙色に変化し、この濃い橙色の物質はWhatman GF/Fグラスファイバーろ紙でろ過すると、ろ紙上に保持され、ろ液は透明となったことより、溶存鉄の減少は、鉄(II)が鉄(III)に酸化され難溶性の水和水酸化鉄(III)の沈殿となったと考えられる。 DOCの減少は、1)細菌による分解、2)鉄(III)沈殿との共沈が考えられるが、微生物の有機物分解速度定数は、最大でも、今回のDOC減少より1桁小さいことより、2)による物と考えられる。 天然には、今回のような曝気条件はないので、今回の値は潜在的最大値と解されるが、天然の嫌気的湖水中の溶存有機物が、鉄(III)と共沈するであろうが示された。次のステップは、天然での共沈能を推定することである。
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