2004 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖などの湖沼堆積物を用いた近畿圏における明治以降の人為的環境変遷史の解明
Project/Area Number |
16510012
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山崎 秀夫 近畿大学, 理工学部, 助教授 (30140312)
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Keywords | 重金属元素 / 環境汚染 / 歴史トレンド / 堆積物 / 琵琶湖 / 大阪湾 / 重金属フラックス / 第二次大戦 |
Research Abstract |
わが国における人為的な環境汚染の歴史は明治維新以降の産業近代化と共に始まったと考えることができる。近畿圏では,明治3年に砲兵司(後の陸軍大阪砲兵工廠),造幣局,堺紡績の3つの近代的工場が明治政府によって建設された。以来,大阪を中心とした京阪神地域はわが国における鉱工業製品の中心的生産拠点の地位を占めてきた。本研究では,このような産業活動に伴って排出された汚染物質による環境汚染の実態を時系列に従って解析することで,人間活動と環境汚染の関係を定量的に解明することを目的とした。 環境汚染の時系列の解析は琵琶湖をはじめとする近畿各地の湖沼から採取した柱状堆積物試料中の汚染物質濃度の鉛直分布を測定することで行った。堆積物の堆積年代はHPGe半導体検出器を用いるγ線スペクトロメトリーにより,^<210>Pb法,^<137>Cs法で推定した。汚染のマーカーとしては,産業活動によって環境に排出されるCr,Ni,Cu,Zn,Hg,Pb等の重金属元素を用いた。 近畿圏における汚染の実態を検証するためには大阪近郊のため池,琵琶湖で,また対照地域として日本海沿岸に位置する壱岐,隠岐諸島のため池から堆積物試料を採取した。近畿圏では第二次大戦後の高度経済成長期のみではなく,日露戦争前後の1900年代当初から高度な重金属汚染が始まっていることが明らかになった。また,その歴史トレンドからは隠岐におけるHgやPbの汚染はわが国よりも中国大陸や朝鮮半島からの影響が大きいことが推察された。
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Research Products
(6 results)