2004 Fiscal Year Annual Research Report
森林土壌の窒素飽和化に伴う温室効果ガス(亜酸化窒素)エミッションの促進
Project/Area Number |
16510013
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Research Institution | Toyama Prefectual University Junior College |
Principal Investigator |
川上 智規 富山県立大学短期大学部, 助教授 (10249146)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 地球温暖化 / 窒素飽和 / 森林土壌 / 渓流水 / フラックス / 硝化 / 脱窒 |
Research Abstract |
窒素飽和は、降雨などによる大気からの窒素沈着量の増加により、森林で必要とされる量を超えて窒素が森林土壌に供給されることにより生じる。その結果、渓流水中の硝酸イオン濃度が上昇し、酸性化や富栄養化を引起す。森林土壌が窒素飽和となると、土壌中の硝化脱窒活性が高まり、それに伴い、亜酸化窒素(N_2O)の発生が促進される可能性がある。 本研究では窒素飽和の森林土壌ならびに窒素飽和となっていない森林土壌からのN_2O発生フラックスを測定し、窒素飽和によるN_2O発生の促進プロセスを実証することを目的とする。 N_2Oの測定には、濃縮器を備えた、Nr-ECD検出器付きのガスクロマトグラフを用いた。N_2Oのサンプリングに際して、まずチャンバータイプの検討を実施した。本研究では、通常用いられる密閉型のチャンバーと通気型のチャンバーを森林床に設置し、それぞれの特性について検討した。その結果、通気型のチャンバーにおいて安定したフラックスを得ることができた。 次に、窒素飽和の森林土壌(富山県呉羽山)ならびに窒素飽和となっていない森林土壌(富山県三の熊)に通気型チャンバーを設置し、N_2Oフラックスを測定した。両地点における渓流水中の硝酸イオン濃度は、呉羽山では160μmol/lと非常に高濃度であるのに対し、三の熊では9μmol/lと低い。2004年10月から2005年1月までのN_2Oフラックスは、窒素飽和の呉羽山土壌からは平均1.81μg-N/m^2/hと、窒素飽和でない三の熊土壌からの0.17μg-N/m^2/hに比較し約11倍に達していた。また、渓流水中の硝酸イオン濃度がやや高い、富山県魚津市の松倉、大沢野町の小羽においてフラックスを測定した結果とあわせると、渓流水中の硝酸イオン濃度とフラックスには強い相関があることが見出された。これらのことにより、窒素飽和がN_2O発生フラックスを促進することが実証できた。
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Research Products
(2 results)