2004 Fiscal Year Annual Research Report
陸域生態系-大気間の生物地球化学的相互作用を扱うモデルの開発
Project/Area Number |
16510016
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (70344273)
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Keywords | 温室効果ガス / 陸域生態系 / 物質循環 / 大気化学 / プロセスベース・モデル / フラックス / メタン / 亜酸化窒素 |
Research Abstract |
陸域生態系と大気との間の温室効果ガス収支を推定するための生物地球化学的循環を扱うモデル開発を行った。第1に、各種陸域生態系における炭素循環・窒素循環に関する文献および公開データを収集し、現存生態系における生物地球化学的過程の実態把握を進めた。収集した文献をデータベース化して予備的なメタ分析を行った。例えば、陸域植生による二酸化炭素固定能の指標となる純一次光合成生産力について、全球を対象とした150程度の研究例を集計し、現在の定量的推定における平均値と分散を解析した。第2に、微気象学的フラックス観測が行われているサイトに対して適用可能なモデル開発を行った。現在、大気-陸域間の温室効果ガス交換は、渦相関法などの微気象学的方法で測定するのが主流であり、その観測データと直接比較可能なモデル開発は急務であった。そのため、フラックス観測と同等な空間スケール(約1km^2)と時間分解能(30分)を持つモデルを開発した。本年度は、モデルを岐阜県の高山サイトに適用し、岐阜大学流域圏科学研究センターおよび産業総合技術研究所による観測データと比較した。モデルの改良点として、土壌有機物動態を精密化し、植生の個葉光合成特性における老化効果を観測データに基づいてパラメタライズした。その成果はAPGC2004(Phyton誌の特集号に掲載予定)および日本生態学会などで発表された。高山サイトではフラックスだけでなく、植生バイオマスや土壌有機物を含めた生物地球化学的物質循環に関する各種プロセス研究が実施中であり、今後もそれらのデータを活用しつつモデル開発を進める予定である。本年度予算によってパーソナルコンピュータを購入し、データ解析およびモデルシミュレーションに使用した。また、各種観測サイトへのモデル適用を進めるための研究打ち合わせを行った。
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Research Products
(1 results)