2005 Fiscal Year Annual Research Report
陸域生態系-大気間の生物地球化学的相互作用を扱うモデルの開発
Project/Area Number |
16510016
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (70344273)
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Keywords | 温室効果ガス / 陸域生態系 / 物質循環 / 大気化学 / プロセスベース・モデル / フラックス / メタン / 亜酸化窒素 |
Research Abstract |
京都議定書で定められている温室効果ガスのうち、陸域生態系がグローバルな循環において重要な寄与を行っている3種類(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素)について大気との交換を推定するモデルを構築した。このモデル開発は環境省地球環境研究総合推進費S1課題および海洋研究開発機構の研究プロジェクトと連携をとりつつ実施した。このモデルは現在までに二酸化炭素に関する光合成・呼吸による交換、メタン酸化、硝化・脱窒による亜酸化窒素生成の過程が組み込まれており、森林や草原などupland生態系に適用することができる。湿地や水田におけるノタン生成については来年度実施予定であり、そのための文献収集などの準備を行った。モデルによる推定結果は岐阜県高山市における観測データと比較することで地点レベルでの検証を行った。メタン酸化および亜酸化窒素放出について、季節変化パターンについては妥当な再現性を得たが、亜酸化窒素放出については絶対値を過大評価する傾向があり、その改善が来年度の課題として残された。この岐阜高山サイトでは樹木の生理生態学的パラメータが実測されており、そのデータを用いた林冠光合成モデルの改良に関する論文発表(Ecological Research)を行った。土壌表面からの二酸化炭素放出に関するモデル高度化として、根系からの炭水化物滲出の迅速な分解過程の影響について感度実験を行った。これらのモデル実験を通じて、二酸化炭素だけでなく,メタンや亜酸化窒素が大気-陸域間の温室効果ガス交換を通じた相互作用に重要な寄与を行っており、その定量的把握が重要な課題であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)