Research Abstract |
本年度は環境共生型都市の動学モデルの構築に焦点を当て研究を行った。第1に25ゾーンからなる仮想的な都市を想定し,その数値シミュレーション分析を行った。このモデルでは家計の割引された均衡効用水準の総和が最大化されるような構造となっている。そして産業資本,住宅資本,交通資本,自然環境水準が内生化されている。またゾーン間の家計の居住地移動,通勤パターンも内生化されている。このモデルによるシミュレーションによって,自然環境を考慮した方が都市がコンパクトになり,また都市成長の中間段階では家計効用が高まるという,興味深い結果が得られた。 第2には帯広都市圏を対象として,廃棄物の発生,再(生)利用,除去を考慮した動学的応用一般均衡モデルを作成した。平成16年度では同じ地域を対象として静学モデルを作成したが,都市の持続的発展を考察するためにはモデルの動学化が必要である。このモデルを用いて,既存の再(生)利用率を1.2倍引き上げた場合のシミュレーションを行った。その結果,家計効用の期末値まで含めれば,再(生)利用率を高めた方が割引された家計効用値総和は大きくなるという結果が得られた。 第3には上述のモデルでは帯広都市圏の人口増加を仮定していたが,現実には将来人口は減少する可能性が高いものと思われる。この観点から,将来人口の減少を仮定したシミュレーションを行った。その結果,人口増加ケースよりも人口減少ケースのほうが1人当りの効用値は高くなるという,極めて興味深い結果が得られた。これは1人あたりの資本ストックの違いによるものと思われる。 来年度については枯渇姓資源を考慮したモデルを構築し,真の意味での持続的発展の考察を行う予定である。以上の成果は国際地域学会,日本地域学会,土木学会,ウィーンでの国際ワークショップなどで発表されている。
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