2005 Fiscal Year Annual Research Report
地域環境リスク管理における市民参加・リスクコミュニケーション促進の比較法的研究
Project/Area Number |
16510029
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
織 朱實 関東学院大学, 法学部, 助教授 (70367267)
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Keywords | IPC / 持続可能な開発 / REACH / リスクコミュニケーション |
Research Abstract |
本年度は、PRTR法が完全施行されて自治体がどのようにそのデータを活用しているかの調査を行った。PRTR法では、自治体に地域住民のニーズに応えたPRTRデータの集計、公表を求めており、多くの自治体が地域別、媒体別、業種別、対象物質別、規模別等項目別に集計し、グラフ化しインターネットを通じて情報提供を行っている。しかし、機械的なデータの集計から進んで、住民に分かりやすい形での情報提供を行っている自治体はほどんどない。サイトでデータ情報を提供している自治体40自治体のうち、表計算ソフトにダウンロードできる自治体はわずか5自治体である。さらに、データを提供するだけでなく、そのデータを市民が理解し活用を促進するためには自治体による啓発活動が重要であるが、リスクコミュニケーションセミナー、リーフレット発行などの独自の活動を行っている自治体もまだ30自治体程度である。普及啓発活動を行っている自治体であっても、その内容は一方的な情報発信の域を超えずPRTRデータ活用促進施策としては十分とはいえない。また、PRTRデータは地域の化学物質管理の基礎データとして活用することも可能であるが、PRTRデータをベースとして事業者への取扱量の届出、化学物質管理計画書の提出を条例で課している自治体、モニタリングの選定・モニタリング地点の選定等に活用している自治体もまだ少ない。本調査では、PRTRデータ集計作業に追われ、そのデータの活用まで十分に行えていない自治体の実態を明らかにした。来年度は、こうした実態を改善していくために、諸外国の化学物質管理政策の動向と比較しながら、自治体の化学物質管理促進のためのPRTRデータ活用に向けての課題の分析と提言の検討を行っていく。
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Research Products
(5 results)