2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による変異誘導を調節するヒト生理機構におけるシャペロンとSUMO分子の役割
Project/Area Number |
16510032
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 信夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90111426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 和子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80302545)
鈴木 敏和 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70270527)
菅谷 茂 千葉大学, 医学部, 教務職員 (90334177)
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Keywords | 突然変異 / ヒト細胞 / 血清 / シャペロン / DNA修復 / SUMO-3 / X線 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究では、細胞の放射線応答・変異誘導調節に関して、シャペロン・SUMO・プロテアーゼネットワークという新規のシグナル伝達メカニズムを提唱し、次の研究成果を得た。 細胞内メジエーター分子の検証:細胞内のシャペロン分子について、以下のような知見を得た。 1.X線照射後のプロテアーゼ活性を指標に精製されるシャペロン分子GRP94を同定した。このGRP94siRNA処理ヒト細胞において、X線照射によるコロニー形成能が著しく低下し、GRP94のX線致死抵抗化への関与が示唆された。2.プロテアーゼ活性を指標に精製される他の分子としてHSP27タンパクが同定された。このHSP27遺伝子のアンチセンスDNA導入ヒト細胞では、チミンダイマーと(6-4)光産物の除去能の低下が見られ、紫外線致死感受性化した。GST融合HSP27タンパクを作製し、結合タンパクを検索した結果、複数のタンパク質分子に対する結合能が紫外線照射後に変化した。3.また、変異誘導調節に関わる因子として、GRP78/Bip遺伝子が同定され、GRP78/Bip遺伝子アンチセンスDNA導入ヒト細胞では、紫外線に対し感受性となった。プラスミドDNA基質を含むCell-free systemを用いた再構成実験のシステムから、NER修復系に関与することが示された。4.さらに、細胞内修飾タンパクであるSUMOタンパクについては、X線照射後のDNA合成代謝に関わることが示唆された。また、GFPとSUMO-3の結合タンパクを細胞で一過的に発現させると、X線照射後核内でドット状にフォーカスが形成されることが見出された。 ヒト個体レベルでの酸化ストレス度の測定:ストレスによるヒト個体の酸化障害物代謝の指標として、ヒドロペルオキシド産物の測定を行った。ある種の疾患患者や重喫煙者では、体内のヒドロペルオキシド産物の量が増大することが示された。
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Research Products
(5 results)