2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射線および活性酸素が誘発するDNA塩基損傷の修復酵素の同定と機能の解析
Project/Area Number |
16510035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
張 秋梅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00260604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米井 脩治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60093340)
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Keywords | 塩基除去修復 / DNAグリコシラーゼ / APサイト / 突然変異 / 塩基相補性 / 忠実性 / DNAポリメラーゼβ / フレームシフト |
Research Abstract |
塩基除去修復では、まず、DNA N-グリコシラーゼが塩基損傷を特異的に認識し、N-グリコシド結合を切断する。DNAグリコシラーゼの反応の結果生じるAPサイト(それ自身が突然変異や細胞死を引き起こす)はDNAリアーゼ(lyase)やAPエンドヌクレアーゼによって切断され、この切断部位はヒトでは1)short-patch repairまたは2)long-patch repairによって1あるいは数ヌクレオチドが転入され、最終的にDNA ligaseがDNA鎖を再結合して塩基除去修復が完了する。Short-patch repair、long-patch repairにはそれぞれ別々のDNA polymerase βあるいはδが作動する。本研究では、APサイトを修復するshort-patch repairとlong-patch repairの鋳型鎖塩基配列に対するfidelityを比較するための研究を行った。そのため、1)APサイトを任意の位置に含むM13ファージDNAの調整、2)修復を完全に行わせるための試験管内反応系の確立した。Short-patch repairつまりDNAポリメラーゼβの基質として正常なAPサイト、long-patch repairの基質には還元したAPサイト(RAP)を用いた。これらの反応系で、M13ファージのDNAを反応させ、Lacの系で突然変異頻度の検出を用い、さらにDNAのヌクレオチド配列をシクエンスすることによって修復反応系の忠実性を解析した。その結果、正常なG/Cに比べて約10倍の突然変異頻度を示した。short-patch repair、long-patch repairともに0.1%で同じ程度の突然変異頻度であった。DNAシークエンスの結果、APサイト、RAPサイトともにその向かい側のGの欠失に伴う-1のフレームシフト変異がほとんどであった。
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Research Products
(5 results)