2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16510041
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊吹 裕子 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (30236781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 典男 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (10169039)
内藤 博敬 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (30254262)
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / 紫外線 / DNA二本鎖切断 / Ku-80 / 共焦点レーザー顕微鏡 / GFP |
Research Abstract |
多環芳香族炭化水素(PAHs)と紫外線の複合作用による細胞毒性の上昇の機構解明を行った。DNA二本鎖切断修復蛋白質Ku-80の欠損株(xrs-5)にPAHsの一つであるbenzo(a)pyrene (BaP)とUVAを照射すると明らかに親株(CHO cell)に比べ高い感受性を示した。さらに、パルスフィールドゲル電気泳動法によりDNAの切断を測定すると、明らかな二本鎖切断(DSBs)が認められた。CHO細胞では0.5時間培養後、生じたDSBsは完全に修復されたが、xrs-5細胞ではDSBsが生じたままだった。これらの結果は、BaPとUVA照射により生じたDSBsがxrs-5細胞のBaPとUVAの複合作用に対する感受性の高さの一原因であることを示唆していた。また、in vitroでプラスミドにBaPとUVAを作用させた結果、明らかな一本鎖およびDSBsが観察された。本研究によりはじめてPAHsと紫外線の複合影響によりDSBsが引き起こされることが明らかになった。さらにKuにGFPタグを付けた分子を細胞内で発現させ、BaPとUVA照射後のKu-80の動きを共焦点レーザー顕微鏡を用いて追跡した。共焦点レーザー顕微鏡の365nmの波長の光を顕微鏡下、細胞に照射すると、BaPが存在する場合のみGFP-Ku80の照射面への急速な蓄積が確認された。DNA切断誘導後の修復関連因子の急速な動きを可視するのに成功した研究は本研究が初めてであり、環境分野だけでなく、細胞生化学的にも非常に貴重なデータを得ることができた。
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Research Products
(1 results)