2005 Fiscal Year Annual Research Report
空気ルミネッセンスを利用した環境ラドン濃度測定法の開発
Project/Area Number |
16510044
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
森田 裕子 共立薬科大学, 薬学部, 講師 (80245448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 勲 共立薬科大学, 薬学部, 助手 (50286407)
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Keywords | 空気ルミネッセンス / 環境ラドン / 窒素 |
Research Abstract |
検出箱は、R331型光電子増倍管(photomultiplier tube, PMT)2本を対向する位置に設置し製作した。R331型PMTは応答スペクトルが300-520nmの範囲で良い感度を示し窒素からの発光スペクトルの大部分を測定し得る。2本のPMTが同時に信号を発した時のみ、マルチチャンネルアナライザ(MCA)が信号を受け入れる様に、一方のPMTの信号は増幅後MCAのADC inに接続し、他方のPMTの増幅信号はタイミング回路を通しgate信号としてMCAに接続した測定系を構築した。まず、α標準線源による測定を、1-PMT系と2-PMT系で行った。^<241>Am線源をPMTの中間に置き、計数効率を比較し、さらに反射材を4面と6面に設置した場合の効果についても検討した。その結果、2-PMT系の計数効率は約1%となった。1-PMT系(約20%)に比べかなり低値であるが、検出箱内に反射材を設置することで2.4%に上昇した。バックグランドも2-PMT系は1-PMT系に比べ低く変動もほとんど見られなかった。次にラドンを用いて検討を行った。まずラドンを標準バイアルに採取し、娘核種と過渡平衡に達する3.5時間後にLSSで空気ルミネッセンスを測定し、既知量ラドン線源として検出箱に分散させた。ラドンに対する計数効率は、反射材なしの2-PMT系で1.29%となり、反射材の設置で3.29%、7.38%に上昇した。α標準線源による計数効率の約3倍であり、α粒子を放出するラドンの娘核種が関与したためであることが示唆される。さらに、窒素ガス発生機と極低温小型冷凍機を用いて、空気から液体窒素(LN_2)を製造し石英ビーカーに入れ2-PMT系による連続測定を試みた。経過時間とともに計数値は減少するが有意な計数値が得られた。LN_2の製造は、原料の空気から吸着剤を使用して、酸素・炭酸ガス等を除去し液化を行っている。窒素ガスと希ガスは吸着されないため、製造機付近のラドンが濃縮され(約600倍)、LN_2に含まれている可能性が考えられる。この製造機付近のラドン濃度を活性炭検出器により測定すると、屋外ラドン濃度程度の低い値(6.3Bq/m^3)であり、この系によるラドン濃度測定が可能であることが示唆された。
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