2005 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸都市域におけるエストロゲンの環境動態の追跡と削減技術の開発に関する研究
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16510062
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鈴木 祥広 宮崎大学, 工学部, 助手 (90264366)
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Keywords | 沿岸都市域 / エストロゲン / 高度下水処理 / 除去 / 河口域 / 底質 |
Research Abstract |
平成17年度は,システムの設置と運転期間の制限を受けたことから,平成18年度に計画していた高度処理システムにおけるエストロゲンの挙動を追跡し,問題点を整理した。担体投入型生物処理システムに着目し,樹脂系中空円筒状担体を充填した小規模の実験装置を用いて,高速高度処理した場合におけるエストロゲンのE2とE1の挙動について検討した。E2とE1の測定にはELISA法を用いた。実験装置は,好気槽(HRT 1h),硝化槽(HRT 1h),脱窒槽(HRT 2h)仕上げ槽からなり,生物処理プロセスのHRTは4hで運転した。都市下水の最初沈殿池越流水を原水とした場合において,懸濁物,有機物および窒素は安定した処理を行うことができた。生物処理プロセス後段の脱窒槽流出水のSS,TOCおよびT-Nの濃度は,それぞれ10〜15mg/L程度,8mg-C/L以下,および2〜5mg-N/Lに保持された。本実験装置による連続処理実験において,窒素除去を目的とした下水の高度処理は良好であった。しかしながら,高速度な高度処理が良好に行われた場合においても,E2とE1は,脱窒槽流出水すなわち高度処理水中からそれぞれ2〜3ng/Lと26〜33ng/Lの濃度で検出された。本実験装置におけるE2とE1の除去率は62%と34%であり,E1の除去能力が低いことが示唆された。物質収支の結果では,E2とE1のいずれも,汚泥と生物膜への蓄積が極めて少なく,全体の1-2%程度であった。担体の生物膜に吸着あるいは摂取されたE2とE1は,極めて短時間に分解・消失したと考えられる。 平成17年度のもう一方の研究課題として,都市河川と河口域における底質と水質の1年にわたって実態調査を実施した。海水と河川水が混合する河口域の底質からE2が高濃度で検出された。河川水からは溶解性E2gが約3ng/L検出された。海水混合域では溶解性E2が何らかの凝集プロセスに関与して沈降することが示唆された。平成18年度は,この凝集プロセスとE2の関係について検討していく予定である。
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Research Products
(3 results)