Research Abstract |
本研究の目的は,沿岸海域(閉鎖性内湾)における水質浄化および底質改善を行なうことにより,環境を保全し修復することである.そのため,自然環境を保全するための炭素繊維,鉄鋼スラグなどの素材の有用性を解明する.特に,水域内から栄養塩、重金属,有機化合物などの有害物質および細菌を付着または吸着している懸濁物質およびプランクトンの栄養素としてのリン酸塩の効果的な除去方法の検討を行った. 本年度の研究は,清水港および佐鳴湖をフィールドとし,SSとCODの関係,懸濁物質,沈降粒子および堆積物中の微量元素濃度の問題,懸濁物質およびリン酸塩の除去についてである.既存のデータから,清水港および佐鳴湖のSSを1mg/L除くことによりCODが,両水域とも約0.4mg/L除去できることが分かった.そこで,上向流急速ろ過装置(ろ材としてスラグとアブラスリング)を用いて,清水港のSSおよびCODの除去を検討した結果,前者が約75%で後者が約13%であった.佐鳴湖におけるそれらの除去率は,それぞれ約19%および約10%とほとんど効果が得られなかった.しかしながら,ろ材の空隙をより小さくすることでSSの除去率は,約57%まで上昇したが,CODのそれは約11%とほとんど変化が見られなかった.また,リン酸塩の除去に関しても,微細粒子の少ない清水港では,鉄被膜水砕スラグへのリン吸着が飽和(5%以下)に達する時間が約200時間であるのに対し,佐鳴湖では約6時間と非常に短い結果が得られた.清水港および佐鳴湖における懸濁物,沈降粒子および堆積物中の微量元素濃度は,堆積物中で最も高いことが分かった.特に,両水域の亜鉛濃度は,水棲生物に影響を与えるであろうとされるPEL値(271mg/Kg)を越えていた. 上記の研究に関連する論文および学会発表数は,それぞれ6編(和文2編,英文4編)および6報である.また,清水港および折戸湾の環境報告書(代表者,福江正治)が3月下旬に印刷される予定である.2007年度における予定は,Environmental Pollution(1編受理),国際シンポジウム1報,海環境シンポジウム2報などの発表を予定している.
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