Research Abstract |
本研究の目的は,沿岸海域(閉鎖性内湾)における水質浄化および底質改善を行なうことにより,環境を保全し修復することである.そのため,自然環境を保全するためのろ材(鉄鋼スラグ,アブラスリング等)の有用性を解明する.特に,水域内から栄養塩、重金属,有機化合物などの有害物質および細菌を付着または吸着している懸濁物質およびプランクトンの栄養素としてのリン酸塩の効果的な除去方法の検討を行った. 本年度は,最終年度であり佐鳴湖をフィールドとし,SS,CODおよびリン酸塩のより効率的な除去について検討を行った.昨年度までの結果から,清水港におけるCODの溶存態(D-COD)と懸濁態(P-COD)は,前者がほぼ85%で,後者が15%であるが,佐鳴湖のそれは,前者と後者とも約50%であった.したがって,佐鳴湖のCOD値を削減するには,溶存態有機物を除くよりも粒状物質を湖水から除くことの方が効果的と考えられる.そこで,上向流急速ろ過装置(ろ材として製鋼スラグ粉末とアブラスリング)を用いてpHを上昇させ,Mg,Feなどの水酸化物を生成させることにより微細粒子を除去する試みを行なった.佐鳴湖における粒子の粒径および粒子数は,3〜5μmのものが全体の90%を占めているが,実験装置を通過させることにより数%まで低下させることができた.SSの除去は,昨年度のろ材では29%程度であったが,本年度では99%を除くことが可能となった.また,湖水のCOD値は約11mg/Lであるが,pHを上昇させることにより5mg/L以下まで低下させることができた.さらに,湖水中のリン酸塩の99%を除去することができることもわかった.
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