2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16510068
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
大澤 敏 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (50259636)
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Keywords | 溶媒処理 / 生分解性プラスチック / 撥水性植物 / 抗菌性 / 微生物吸着 |
Research Abstract |
平成16年度の研究で真菌類が生分解性プラスチック表面に吸着する際にその表面のマイクロスケールの凹凸構造を認識することがわかっている。そこで平成17度の研究では、溝構造のスケールの大きさと形状の影響、撥水性植物の葉の形状の影響について調べた。その結果、以下のことが明らかとなった。 真菌類のなかでも安全性の高い麹菌が30〜50マイクロメータの格子状溝構造を認識して吸着することがわかった。また、マイクロスケールオーダーの格子状金網の20マイクロメータ構造を直接溶融転写した場合に麹菌に対する高い吸着能が発現することがわかった。麹菌が吸着した後は大腸菌が吸着しなかったことから安全性の高い麹菌を選択吸着させて、生分解性プラスチックの衛生的な分解が可能であることが示唆された。 撥水性植物の葉のマイクロ構造を解析した結果、数百ナノメートルから数マイクロメートルの凹凸と数十マイクロメートルの凹凸の二重構造であり、その分布は比較的広いものであった。この構造を溶媒キャスト法でポリカプロラクトン表面に転写し、その後、溶媒処理により微細構造(百ナノメートルから数マイクロメートルの凹凸)を付与した結果、水に対する接触角が約150度に達し、超撥水性の生分解性プラスチック表面が得られた。さらにこの構造には真菌類が吸着しにくく、撥水性と抗カビ性を有する性分解性プラスチック表面が得られた。工業的に有用な溶融転写法では溶媒処理後も微細部分を構築できず、マイクロスケール部分のみの転写が可能であった。撥水性は認められたが、十分な抗カビ性は認められなかった。
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