2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16510086
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
吉田 絵里 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (60263175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 十志和 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40179445)
伊津野 真一 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50158755)
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Keywords | "非両親媒性"高分子 / ミセル形成 / 光散乱解析 / 流体力学的半径 / 会合数 / 水素結合 / 塩形成 / 臨界ミセル濃度 |
Research Abstract |
本研究は、溶媒に溶けない不溶部と溶媒によくなじむ可溶部の両方を1分子中に合わせもつ両親媒性高分子を用いる従来のミセル形成法に対し、分子中に不溶部を含まず、分子的に完全に溶解している"非両親媒性"高分子に対してミセル形成法を見出し、確立することを通して、新しい高分子ミセルの形成法の開拓とそれに基づく材料設計を行ったものである。以下にその概要を述べる。 本年度は以下の計画にしたがって研究を行った。 (1)非両親媒性高分子の設計と合成 (2)ミセル形成条件の探索 (3)形成のドライビングフォースとなる化合物の構造とミセルの流体力学的半径および会合数との関係の検証 (4)ミセル形成に及ぼす溶媒効果および温度効果 (5)ミセル形成の熱力学的および速度論的解明 (1)では、側鎖に電子供与基をもち、しかも分子的に完全に溶解する高分子を合成した。この非両親媒性高分子について、光散乱を用いてミセルの形成を検討した。その結果、この高分子は単独では自己組織化能をもたないが、高分子中の電子供与基と水素結合や塩を形成する化合物の存在によって自己組織化し、ミセルを形成することがわかった((2))。このようにして得られたミセルの流体力学的半径や会合数は、高分子の分子量だけでなく、添加する化合物の官能基数や炭素鎖長に依存することがわかった。このことから、このミセル形成では、ミセルの大きさや会合数が、添加剤の構造によって制御できることが明らかになった((3))。また、このミセル形成が溶媒の極性や温度に左右されたことから、臨界ミセル濃度をこれらのファクターによって制御できることがわかった((4))。さらに、この新規な非両親媒性高分子ミセルの形成を熱力学的および速度論的にも解明し、形成のエントロピーやエンタルピーを算出するとともに、速度定数を決定することができた((5))。
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Research Products
(6 results)