2006 Fiscal Year Annual Research Report
液相合成法における強磁場を用いたナノカーボンの構造および電子的特性制御
Project/Area Number |
16510089
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
横道 治男 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30212301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 直樹 物質・材料研究機構, 量子ビームセンター, センター長 (40354360)
|
Keywords | ナノカーボン / 超音波合成法 / 室温合成 / 磁場中合成 |
Research Abstract |
これまで、エタノールを主体とした電気化学的手法、すなわち電気分解により、最大12テスラ(T)の強磁場中でのナノカーボンの合成を試みてきた。その結果、磁場中では、切り屑のような形状のナノカーボン、および長さの長いカーボンナノワイヤーが合成されたことから、合成時に磁場が影響を与えることを見出した。磁場を平行に印加した場合と垂直に印加した場合との結果に顕著な差が認められなかったことから、電気化学的手法によるナノカーボンの磁場中合成においては、ローレンツ力による効果は小さく、量子論的スピン偏極に起因した効果が大きいことが示唆された。そこで今年度は、その他の磁場の効果についても考察を行う目的で、電場の印加を行うことなしに、溶媒中で強磁場合成を試みた。ただし、無電場ではナノカーボンの合成ができないことから、酸化亜鉛について合成を試みた。酸化亜鉛は、硝酸亜鉛をエタノールに溶かし、水酸化ナトリウムを加え、十分に攪拌させた後、超伝導磁石に挿入することにより合成を行った。その結果、磁場中合成により、わずかではあるが形状に変化が見られ、その起因として磁場による対流等の制御による可能性が示唆された。また、超音波を用いた溶媒中での室温合成、すなわち室温での超音波合成法についても考察を行った。これまで、四塩化炭素中に金属ナトリウムを入れ、超音波を照射することにより、ナノカーボンが合成されることを見出している。今回、金属ナトリウムの代わりにカルシウムを用いて合成を試みた。その結果、基板にカーボンが堆積したものの、ナノカーボンの存在は認められなかった。さらに、超音波法による液相中でのナノカーボンの強磁場合成を行うための準備を行ったが、実際に試みる見るためには装置の更なる改良が必要であり、今後の課題となった。
|